スズキ スイフトスポーツ:新車試乗記

キャラクター&開発コンセプト

直噴ターボエンジンを搭載。2ペダル車は6ATに

swiftsport-01pr.jpg 新型スイフトスポーツ
2017年9月20日に発売された新型スイフトスポーツは、4代目スイフト(2017年1月発売)ベースの高性能モデル。 新型は2003年に発売された初代スイフトスポーツから数えると4代目だが、スズキ自身はグローバルモデルとして2005年に発売したスイフトスポーツが初代だともしており、その主張に従えば新型は3代目にあたる。いずれにしても今回は約6年ぶりのフルモデルチェンジだ。
 
初代スイフトスポーツ(2003年)
先代スイフトスポーツは最高出力100kW(136ps)を発揮する自然吸気1.6Lエンジンを搭載したモデルだったが、新型は最高出力140psと最大トルク230Nm(23.4kgm)の1.4L直噴ターボ「K14C型」、いわゆるダウンサイジングエンジンを採用し、大幅なトルクアップを実現。また、トランスミッションは先代が6速MTおよびCVT(無段変速機)だったのに対して、新型では改良型の6速MTおよび、スイフトスポーツでは新の6速AT(アイシンAW製)を採用している。

先代比で70kg軽量化。3ナンバーワイドボディを採用

2代目スイフトスポーツ(写真は2007年のマイナーチェンジモデル)
ボディについては欧州向け新型スイフト譲りのワイドボディパネルを採用することで1735mmの3ナンバー幅に。それに伴い、サスペンションもワイドトレッドの専用品となっている。 もう一つのトピックが大幅な軽量化だ。現行スイフト自体が先代比で最大120kgの軽量化を果たしているが、新型スイフトスポーツもその軽量高剛性ボディの採用によって先代比70kgの軽量化を実現している(6MTが1040kg→970kg、先代CVT:1060kg→新型6AT:990kg)。
 
先代(3代目)スイフトスポーツ(2011年)
また、スズキでは初の車線逸脱抑制機能をはじめ、単眼カメラとレーザーレーダーで前方の歩行者や車を検知して自動ブレーキ等を作動させる「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」もオプション設定。同オプション装着車にはミリ波レーダー方式のACC(アダプティブクルーズコントロール)も装備され、経済産業省や国土交通省などが普及を推進する「セーフティ・サポートカー」に認定されている。

RJCカー オブ ザ イヤーを受賞

新型(4代目)スイフトスポーツ
国内の月販目標はスイフト全体が3500台で、うちスイフトスポーツが500台。欧州市場にも投入されるが、当面は日本からの輸出になるとのこと。欧州でのライバル車はプジョー 208GTi、ルノー クリオ(日本名ルーテシア)RS、VW ポロGTI、MINI クーパー(S)といったところだ。 なお、新型スイフトシリーズは、RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)主催の「2018年次 RJC カー オブ ザ イヤー」を受賞した。スイフトの受賞は2004年の初代、2010年の2代目に続いて3代連続。 ■外部リンク スズキ ニュースリリース>新型「スイフトスポーツ」を発売 (2017年9月13日) ■過去の新車試乗記>スズキ スイフトスポーツ 初代スズキ スイフトスポーツ (2003年8月掲載) 2代目スズキ スイフトスポーツ (2005年10月掲載) 2代目(後期型) スズキ スイフトスポーツ (2007年6月掲載) 3代目スズキ スイフトスポーツ(2011年12月掲載)
 

価格帯&グレード展開

6MTで183万6000円。先進安全装備はオプション

スイフトスポーツはワングレードで、価格は6MTが183万6000円、パドルシフト付の6ATが190万6200円。 ただし、先進安全装備をセットにしたメーカーオプション「セーフティパッケージ」は8万6400円で、そこにさらに全方位モニター用カメラパッケージも加えた「セーフティパッケージ・全方位モニター用カメラパッケージ」は14万4720円になる。 セーフティパッケージには、デュアルセンサーブレーキサポート(DCBS)、車線逸脱抑制機能、誤発進抑制機能(6MT車を除く)、車線逸脱警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト機能、前席サイド&前後席カーテンエアバッグ、そしてアダプティブクルーズコントロールが含まれる。また、全方位モニター用カメラパッケージには、前後左右カメラ、フロント2ツイーター&リヤ2スピーカー、ステアリングハンズフリースイッチが含まれる。全方位カメラは要らずとも、追加スピーカーやステアリングスイッチは欲しいので、後者を装着したくなるというのが人情では。となると、実際にはナビ・オーディオなしでも車両本体約200万円のクルマということになる。
 
オーディオはレス状態が標準で(フロントドアスピーカーは全車標準)、販売店オプションの純正ナビは7インチモデルが15万円弱、8インチモデルが17万円弱。ボディカラーは全6色で、一部メタリックやパール塗装は2万1600円高。 なお、MTとATの販売比率は目下のところ7:3とのこと。MTの方が多いのは歴代スイフトスポーツに共通する傾向だが、新型では今後、出来のいい6ATが増えそうだ。
 

パッケージング&スタイル

3ナンバーワイドボディを採用

試乗車のボディカラーはスイフトスポーツ定番の黄色(チャンピオンイエロー4)
ベースは現行スイフトなれど、ほとんどの外装パーツが専用品となった新型スイフトスポーツ。フロントの“ハニカム”(ハチの巣)グリルは普通のスイフトとは反対に下側がワイドな台形になって、顔つきはグッと精悍に。個性的なCピラーの処理も違和感なく、むしろ最初からスイフトスポーツありきでデザインしたような、まとまりの良さを感じさせる。専用17インチアルミホイールや2本出しマフラーのデザインもなかなかいい。
 
それでも、一見してカッコいいと思わせるのは、ベース車や先代スイフトスポーツより40mmも幅広になった3ナンバーワイドボディのおかげだろう。このボディパネル、上でも触れたように現行スイフトの欧州仕様と同じもの。今や欧州Bセグメントの標準にならって、素のスイフトも欧州では3ナンバーなのだ。

最小回転半径は0.1m小さくなった

ボディサイズ(カッコ内は先代スイフトスポーツ比 / 現行スイフト比)は、全長3890mm(同 / +50)×全幅1735mm(+40 / +40)×全高1500mm(-10 / 同)、ホイールベース2450mm(+20 / 同)。全幅とホイールベースは先代より増えているのに、車重は1割近く減っているのが驚き。あと、ボディ拡幅によってタイヤを切れ角を増やせたことで、最小回転半径は0.1m小さい5.1mになっている。
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
スズキ イグニス (2016~) 3700 1660 1595 2435 4.7
現行スズキ スイフト (2017~) 3840 1695 1500~1525 2450 4.8
MINI クーパーS(2014~) 3860 1725 1430 2495 5.15
先代スズキ スイフトスポーツ (2011~2017) 3890 1695 1510 2430 5.2
新型スズキ スイフトスポーツ(2017~) 3890 1735 1500 2450 5.1
トヨタ ヴィッツ GRスポーツ(2017~) 3975 1695 1490~1500 2510 5.6
ホンダ フィット RS (2013~) 3955~4045 1695 1525 2530 5.2
プジョー 208 GTi(2013~) 3975 1740 1470 2540 5.3~5.4
VW ポロ GTI(2010~2017) 3995 1685 1445~1485 2470 4.9
スズキ バレーノ(2016~) 3995 1745 1470 2520 4.9
マツダ デミオ(2014~) 4060 1695 1500 2570 4.7~4.9
ルノー ルーテシア RS(2013~) 4105 1750 1435 2600
 

インテリア&ラゲッジスペース

機能も雰囲気づくりも十分

試乗&撮影したのはMT車で、運転席まわりでは6速のシフトノブやステンレス製プレート付の3ペダルがスポーティな雰囲気を放つ。 また、赤から黒にグラデーションする加飾パネル、盤色が赤の回転計とダークシルバーの速度計、4.2インチカラー液晶マルチインフォメーションディスプレイのブースト計、油圧計、Gメーターといったの機能や雰囲気もいい。新しい装備のために増えたスイッチ類もよく整理されている。
 
今回はレカロシートのオプション設定はないが、フロントシートはスイフトスポーツ専用のスポーツタイプで、座り心地はとてもいい。サポート性も高く、ワインディングを走る程度であればまったく不満を感じない。
 
後席は、シート表皮を除けば普通のスイフトと同じ。2人掛けで使う分なら、実用上の不満はないと思う。居住性はBセグメント車としては優秀な方だ。 ただ、野暮なことを言えば、普通のスイフト同様に、リアドアのアウターハンドルはどうにも操作しにくい(アルファロメオのそれも似たようなものだが)。また、そのドアハンドルがある部分の内装トリムも、取って付けたような仕上げなのが室内から見ると少々気になる。

荷室は普通のスイフトと同じ

荷室は普通のスイフトと全く同じ。荷室容量も同じで、先代より55L増の265L。敷居も先代より80mm低くなり、荷物の積み降ろしがしやくなった。とはいえ客観的に言えば、このクラスの標準といったところだ。
 
床下にはパンク修理キットや工具が収まり(ジャッキは右側の壁内)、あとは三角表示板を入れるスペースがあるだけ。 ちなみに先代スイフトスポーツでは、専用のデュアルマフラーを収めるため、荷室フロアパネルが専用形状になっていたが、新型ではそんな無駄をやめてフロアを共通化。代わりにメインサイレンサーを右側に縦置きし、複雑にうねるエキゾーストパイプを備えた専用マフラーを新設計している。
 

基本性能&ドライブフィール

1速でズバッ、2速でズバッ

今回試乗したのは6MTのみ。一目でスイスポと分かるチャンピオンイエローにときめきつつ、運転席の人となって始動ボタンを押すと、K14C型ブースタージェットエンジンは割と素っ気なく目覚める。 この1.4L直噴ターボエンジンは、現行の新世代エスクードに「追加」という形で一足早く搭載されたもの。4気筒自然吸気のK12Cや、3気筒ターボのK10Cと同系統のユニットで、ボアは共通の73mm。一方、ストロークはK12Cが最短の74.2mm、K10Cが79.4mm、このK14Cは一番長い81.9mmで、この中では一番のロングストローク型になる。圧縮比は9.9で、指定燃料はプレミアムだ。
 
発進はまったくもってイージーで、高性能モデルで心配される扱いにくさや緊張感は微塵もない。高容量化しつつ、フィールを先代より改善した専用開発クラッチは、軽すぎず重すぎず、シビアすぎず、拍子抜けするほど扱いやすい、 また、3速のシンクロをシングルからダブルコーンにしたほか、ダイレクト感を重視して改良したというシフトフィールも、操作していることを忘れるほどスムーズ。現行のマツダ ロードスターもかなり扱いやすいが、それよりもMT初心者に優しい感じだ。
 
最高出力は140ps/5500rpm、最大トルクは230Nm (23.4kgm)/2500-3500rpmと、「2.2L自然吸気エンジン相当」(プレスリリース)。対して先代は136ps/6900rpm、160Nm(16.3kgm)/4400rpmだったので馬力は大差ないが、トルクは1.4倍以上になった。 なのでアクセルを踏み込めば、どの回転域からでも柔軟に反応し、特に3000rpm以上では分厚くマイルドなトルクで、先代より70kgも軽い970kgのボディを、1速でズバッ、2速でズバッと小気味よく加速させる。この感覚、国産コンパクトカーでは何だか久々な感じ。 ただ、一気呵成に6000rpmまで回ったところでレブリミッターが介入してしまうので、中速域のトルクにモノを言わせて走らせるタイプではある。山道では2速ホールドでほぼ用が足りる。

ウエストゲートは専用制御。ギア比は先代と同じ

なお、このエンジンはエスクードの1.4ターボをベースに、スイフトスポーツに合わせて点火制御とターボ過給圧制御を専用チューニングしたもの。一番の違いは、排気ガスの流入量を調節するウエストゲートバルブを、エスクードでは燃費重視で通常時はオープン状態としているものを、スイフトスポーツではレスポンス重視でクローズ状態としているところ(ノーマルクローズ制御)。燃費より楽しさ重視という開発コンセプトがはっきり出ている部分だ。 同じことが、6MTのギアレシオにも言える。これだけトルクが増えればギア比をワイドにして高速側に振り、高速燃費も改善、というのが一般的な手法で、実際に新型スイフトスポーツも開発初期にはそうなりかけたそうだが、結果的には加速感やレスポンスを重視して、先代スイフトスポーツとまったく同じ、2~5速をクロスレシオ化したギヤ比や最終減速比としている。だから、トルクが増えた分を、そのまま体感できる。これだけパワーアップしたのにギア比はそのまま、というケースは極めて珍しい。

パワーで負けても、軽さで勝つ

エンジンカバー兼インシュレーターを外したところ
とはいえ、同クラスの欧州車に目を向ければ、VW ポロGTIやMINIクーパーSは192ps、ルーテシアRSは200ps、プジョー208GTiは208psと、軒並み200ps前後が相場なのが今の状況。それに比べるとスイフトスポーツの140psは控えめにも見える。 しかし、そんなパワー差を帳消しにするほど、圧倒的に優位に立つのが車重の軽さだ。クーパーSやポロGTIが1240kgもあるところ、スイフトスポーツ(6MT)の車重は、何度も繰り返すが970kg。実に、現行マツダ ロードスターの最軽量グレード(990kg)よりも軽い。スズキによれば、主にボディや内装部品で軽くしたらしいが、一体どこをどうするとこんなに軽くなるのだろうか。
 
そんなわけで、パワーウエイトレシオも6.9kg/psと優秀だが、感覚的にはピークパワーよりもフラットなトルクとボディの軽さが印象的。そして先代はエンジン回してナンボという感じだったが、新型はどこからでも踏めばいい。 加速「感」そのものは、パワーウエイトレシオ自体も近いマツダ ロードスターRF(自然吸気2.0Lで158ps)と同じくらいだが、中間加速は新型スイフトスポーツの方が明らかに力強い。コーナーを立ち上がるたびに差をつけられそうな、そんな速さと気持ちよさがある。

いわばライトウェイトハッチ

サスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームと、このクラスでは一般的なものだが、先代に引き続いて採用されたモンロー製ダンパーをはじめ、フロントのサスペンションアームも、リアのトーションビームも、ハブベアリングもスタビライザーもブッシュ類も、スイフトスポーツ専用品。ロール角は先代より約5%減という。 ただ、実際に乗ってみると、スポーツサスペンション風に固めました、というセッティングではまったくなく、しなやかにストロークするタイプ。コーナーでの姿勢変化はそれなりにあるが、強力なLSD付の高性能FF車にありがちなイヤな緊張感がなく、ドライバーにとても寛容。コーナーでは各部の剛性が上がった足回りのおかげか、アクセルを踏みながらでもステアリングを切った方向に曲がり、路面を蹴って加速してくれる また、ブレーキも、フロントブレーキのディスク大径化、ディスク厚アップ、キャリパー有効径の拡大等を行うことで、耐フェード性などを高めたという。
 
タイヤは、サイズこそ先代と同じ195/45R17だが、先代のブリヂストン ポテンザRE050Aから、コンチネンタルのコンチスポーツコンタクト5に変更。最近のコンチ、特に4や5はしなやかで静かだが、スイフトスポーツのスポコン5もそんな印象だった。 一方、ボディ剛性についてはベース車のままでも十分ということで、リアゲートまわりのスポット溶接増し(計12点)しかしていないという。確かに剛性感に不足はない。いずれにしても、軽快で気負いのない身のこなしは、ホットハッチというより、ライトウエイトハッチ?という感じだ。 そして言うまでもなく、高速安定性も問題なし。先代スイフトスポーツと比較しても空気抵抗を約10%低減したり、揚力を低減したりと空力性能を高めたという。 ちなみに100km/h巡行時のエンジン回転数は6速トップで約2700rpm。欧州仕様の最高速は200km/hオーバーだそうだ。速度計は260km/hまで刻まれているが、日本仕様ではもちろん約180km/hでスピードリミッターが作動する。

「セーフティパッケージ」は必須

先進安全装備は6AT車はもちろん、6MT車にもオプションで装備できる。具体的には、単眼カメラとレーザーレーダーによって前方の歩行者や車を検知し「ピピピッ」と警報を出したり、自動ブレーキを掛けたりする衝突被害軽減システム「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」、そして車線逸脱抑制機能、誤発進抑制機能(6MT車を除く)、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト機能などになる。 そのうち、意外にもスズキでは初採用だという車線逸脱抑制機能は、機能をオンにした状態で(スイッチはステアリングセンターパッドの右下にある)、約65km/h~約100km/hで走行中、単眼カメラで車線を認識し、車線内の自車位置と目標走行経路を計算。そして車線逸脱の可能性を検知すると、電動パワステを制御して車線内に戻すように操舵支援を行うというものだ。ただし車線の中央を維持する機能は入っていないようだが、スイフトスポーツの場合はむしろ、クルマ自体の直進安定性の高さが印象的で、そのあたりはあまり気にならなかった。

MT車でもACCは便利

セーフティパッケージ装着車には、ミリ波レーダーを使ったアダプティブクルーズコントロール(ACC)も、豪華なおまけみたいに付いてくる。ただ、設定可能速度は約40km/h~約100km/hで(メーター上では115km/hまで設定可能)、いわゆる全車速対応(0km/L~で作動)ではない。 なお、今回乗ったのは6MT車だったが、ACCを使って巡行しているうちにMTであることをすっかり忘れてしまい、速度が落ちたところでガクガク震えてしまった。しかし、それでもACCはやっぱり便利だと思ったし、MTならACCが全車速対応じゃなくても、そんなに気にならないなぁと思った。

【おまけ】スイフトの“フル”ハイブリッドにも試乗

今回はスイフトスポーツと合わせて、2017年7月に追加されたフルハイブリッド車「スイフト ハイブリッド」にも試乗した。 わざわざ“フル”ハイブリッド車と書くのは、スイフトのマイルドハイブリッド車と区別するため。グレード名は、フルハイブリッド車が「ハイブリッドSL」もしくは「ハイブリッドSG」(Sはストロングの意らしい)、マイルドハイブリッド車の方は「ハイブリッドRS」「ハイブリッドML」となるが……実にややこしい。
 
とりあえず、このスイフトのフルハイブリッド車は、ソリオ ハイブリッド(2016年11月に追加設定)と同様に、1.2L 直4自然吸気エンジン、5AGS(オートギヤシフト)こと5速セミオートマチック、13.6psと30Nmを発揮する駆動用モーター、そして100V高電圧リチウムイオン電池を搭載したもの。モーターによるアシスト走行のほか、クリープ走行時や巡行時など、一定の条件下ではEV走行も可能。JC08モード燃費は32.0km/Lと、マイルドハイブリッド車より2割ほど優れる。
 
このフルハイブリッドシステム、技術的にはモーターの駆動力でAGSが変速する時のトルク切れを補う、というのがとても面白いのだが、試乗した印象はというと、ソリオハイブリッド同様にトルクの谷は完全には埋まっておらず、1速から2速にシフトアップする際には依然、セミAT独特の失速感がある。3速へのシフトアップはかなりスムーズで、4速以上ではまったく気にならないのだが。 一方で、軽量コンパクトなボディで軽やかに走るところは、ノーマルのスイフトに通じるところ。車重は940~960kgで、普通のスイフト(マイルドハイブリッドで900~910kg)より少し重いのだが、両側スライドドアのソリオハイブリッド(990kg)よりは少し軽い。
 
山道では、ハイブリッド車なのにちゃんと5速のギアがあって、しかもパドルシフトで変速できる、というミスマッチ感が妙に楽しかった。スイフトスポーツと同じ足回りだったら、けっこう速いかも。また、高速道路で見せる意外な速さ、伸びの良さもなかなかのもの(この点はソリオ ハイブリッドも同じ)。このあたりはアクアなどのトヨタ製ハイブリッド車では得られないものと思う。100km/h巡行は5速トップで約2600rpmほどだが、静粛性もまずまずだと思った。 新車試乗記>スズキ ソリオ ハイブリッド (2017年3月掲載)

JC08モード燃費はスポーツが16.2~16.4km/L、ハイブリッドが32.0km/L

今回は日帰り試乗ということで、スポーツとハイブリッド、それぞれ約100kmを試乗。参考ながら試乗燃費は、ハイオク仕様のスイフトスポーツが12km/Lくらい、レギュラー仕様のハイブリッドが17.0km/Lだった。 なお、スポーツのJC08モード燃費は、6MTが16.4km/L、6ATが16.2km/L。先代(6MTは14.8km/L、CVTは15.6km/L)より数値的には良くなっているが、新型はついついアクセルを踏みたくなる特性でもあるし、踏んだ時にはトルク相応に燃料噴射してしまうので、実用燃費は走らせ方で大きく上下しそう。維持費が気になる人にはレギュラー仕様で1.0Lターボの「RSt」(6ATのみでJC08モード燃費20.0km/L)という選択肢もある。 一方、フルハイブリッドのJC08モード燃費は、スポーツのほぼ倍の32.0km/L。プリウスやアクアには及ばないが、走りの良さも考えれば十分納得できる燃費性能では。 燃料タンク容量はスイフト全車共通で37L。

ここがイイ

トルクフルで軽い

パワフルというよりはトルクフルなところ。暴力的なパワーよりも、こうしたトルクフルな特性の方が乗っていて気持ちいし、実用的でもある。とはいえマイルドすぎるということもない。正直なところ燃費はいまいちな印象だったが、「これだけ走りが良ければ、いっか」と思わせるだけのものがある。ハンドリングもとてもセーフで、初心者でも安心して乗れるはず。安全装備もこのクラスではほぼ最新と言えるものが用意されている。 また、抜群の軽量ボディで並み居る欧州車に立ち向かうコンセプトもいい。4ドアで、5人乗れて、荷物も積めるロードスター、と言ったら言い過ぎか。

ここがダメ

車線逸脱警報機能の警告音

スイフトスポーツに関しては特になし。 あえて言えば、これは最近のスズキ新型車で思うことだが、約60km/h以上で走行中に作動する車線逸脱警報機能の警告音が大きく、しかも調整できないこと(オンかオフしかない)。何かの拍子で車線をまたぐと、けっこうな音量で怒られてしまうので、つい切りたくなってしまう。ステアリング振動での警告がベターだが、このクラスではコスト的に無理なので、せめて音量を調整できるようにして欲しい。 今回一緒に乗ったフルハイブリッド車の方は、走りもいいし、燃費もいいし、技術的にもユニークだが、ライバル車にアクアのような「無難な選択」がある状況だと、クルマに特別なこだわりがない人には選ばれにくいのが難点か。

総合評価

クルマ離れではなく、クルマ運転離れ?

2015年9~11月の平日と休日各1日を対象に、横浜や千葉、大阪など全国70都市で実施された国土交通省の「全国都市交通特性調査」によると、調査日に外出した人の割合を示す「外出率」が、平日80.9%、休日59.9%となったそうだ。1987年は平日86.3%、休日69.5%だから、そう驚くほどの現象には思えないが、30年の間にだんだん家の外に出なくてもいい社会になってきているということのよう。この調査結果を見るにつけ、注目されるのが20代に限ったデータで、休日外出率は51.1%とのこと。休日になると若者の半数が家に引きこもっているというのはちょっと信じがたいが、これが今の実態なのだろう。
 
原因には若者のクルマ離れがある、と強引に関連付ける見方もある。都会暮らしの若者だと、クルマ離れによって、休日だからクルマに乗ってどこかに行くということがなくなっている、という見方だ。都会ではそれはあるかもしれない。 しかし逆に郊外・田舎暮らしの若者の多くは、平日に通勤や仕事で否応なしにクルマに乗っているので、休日くらい乗りたくないと思っているのではないか。クルマで出かけなければ飲酒もできるし。と考えると、クルマ離れではなく、クルマ運転離れということにも思える。
 
クルマは生活の足であり、運転も楽しくないから、休日にはクルマなんか乗りたくない、ということであれば、かなり残念。昔の若者は逆に、休日くらい思いっきりクルマを走らせたい、どこか遠くへドライブに行きたいとなったものだが。実際、そういう人が今の20代で数少ないことは確かだろう。 そしてノーマルモデルでも走りが良くて、比較的安価なスイフトは、基本的には若い人に向けたクルマだと思うが、そういう今時の20代あたりに訴求するのはなかなか難しいと思う。そんな人たちに走りを強調しても糠に釘状態で、どうにも響かないだろうから。

3ナンバーボディこそ本来のデザイン?

そんなスイフトの中でも、「走り」を特に強調するのがスイフトスポーツだ。新型スイフトのスタイリングに関して、ノーマルモデルの試乗記では結構辛口で書いてしまったが、このスポーツは一見してかなりカッコイイと思った。最大のポイントは、何といってもグリルまわりのデザインだろう。ノーマルモデルとは異なる台形グリルが重心を低く見せ、ワイド感を醸し出している。これはいい。そしてワイド感は感覚だけではなく、実際のボディ幅も広い。というか、このスイフトスポーツ用の3ナンバーボディこそが新型スイフト本来のデザインのようにも見える。日本向けの普通のスイフトはナローボディとされているわけだが、3ナンバーワイドボディで、このグリルなら、スタイリングは問題ないと思う。 シートも過去のスイフトスポーツではおなじみのレカロではないが、まったく問題なく、乗降性とホールド性のバランスがとれている。デザインも赤いステッチが効いていて素敵だ。ちょっと惜しいのはステアリング。下部の樹脂加飾部分はいらないと思った。革巻きのスムーズな握り心地で全体を包み込んでほしかった。あと、インパネ形状はオーソドックスゆえ、もうちょっと変化が欲しかった気もする。

トルクで走る気持ちよさ

本文に書いたように、走りに関しては何一つ文句がない。特にトルクで走ることの気持ちよさが、こんな小さなクルマで味わえるとは。今まで乗ってきたクルマの中で、トルクにのった走りで一番心地よかったのは、1983年式のポルシェ911 SCだが、それに匹敵する心地よさだった。で、数値を確かめてみると、78年登場の911SCは、180ps/5500rpm、27.0 kgm/4000rpm、車重1160kg、パワーウェイトレシオ6.4ps/kg、トルクウェイトレシオ42.9kg/kgm。これに対してスイフトスポーツは140ps/5500rpm、23.4kgm/2500-3500rpm、970kg、6.9ps/kg、41.4kg/kgmと、ほぼ似たような数値で、トルクウェイトレシオではSCを上回っている(83年の911SCはパワーが204psにアップしているが)。これくらいが過剰すぎず、感覚的には最も気持ちよく、「公道で」楽しい力感だ。 つまり、30余年前、1000万円したポルシェ911の気持ちよさが、いま国産新車で味わえるわけだ。FFとRRという決定的な違いはあるが、トルクで走る気持ちよさは共通だ。さすがにその時代の911の中古車は実用面で今買う気にはなれないが(空冷911は価格も高騰しているし)、スイフトスポーツならなんと新車でも200万円しない。5人乗れるし、最新安全装備もついている。ACCで巡航だってできる(これは最新の道路事情に合わせて一刻も早く115km/h以上の設定を可能にしてほしいものだが)。いやあ、このクルマ、かなり、かなり欲しいかも。

本来は若者のためのクルマだが

と、昔からのクルマ好きなオッサンは興味津々となるわけだが、実際、200万円を切るとはいえ、先のアンケートのような引きこもり20代にとっては現実的な買い物対象にはならないのだろう。逆にオッサンにとっては1000万のスポーツカーは無理でも、200万なら超魅力的ということなのだが。スイフトスポーツは本来、クルマ好きの若者のためにあるべきクルマだと思う。が、若者がクルマに足以上の価値を見出すためには、走りをいくら訴求しても響かない。そこが昨今、最大の課題だ。 最初にスイフトスポーツを名乗ったモデルは、軽自動車「Kei」の拡幅版がベースだったとはいえ、14年前の2003年に、5MT、レカロシート、専用サスペンション等がついて119万円(1.5L NA、115ps、14.6kgm)と、驚くべき安価だった。大ヒットした2005年のスイフトスポーツは156万4500円(5MT、1.6L NA、125ps、15.1kgm)。そして今は183万6000円(6MT、1.6Lターボ、140ps、23.4kgm)。性能から考えれば新型も十分安いが、昨今の若者にはますます手に入れにくくなっていることも確かだろう。
 
そういった大きな課題はさておき、オッサンにとっては200万円以下で、若い頃に憧れた走りが手に入る。驚異的な軽量化で圧倒的な走りを得たという、旧い意味での「クルマ」としてはまさに今年のイヤーカーだろう。若い人にこのボーイズレーサーを中古車供給するためにも、お金のあるオッサン層にはどんどん購入していただきたい。傍目にはボーイズレーサーならぬ、オールドボーイズレーサーだが、ま、いいではないか。
 

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