キャラクター&開発コンセプト


マツダの国内向けSUVで初の3列シート


マツダ CX-8の画像
マツダ CX-8(photo:Mazda)

2017年4月28日に国内導入を発表、9月14日に受注開始、12月14日に発売された「マツダ CX-8」は、3列シートの6人/7人乗りの新型クロスオーバーSUV。

初代CX-5(2012年発売)から始まったマツダの新世代商品としては初の3列シート車であり、同時に同社の国内向けSUVとしても初の3列シート車になる(海外向けSUVでは2007年から販売されているCX-9がある)。

 

マツダ CX-8  XD Lパッケージの内装画像
マツダ CX-8 (写真は「XD Lパッケージ」)(photo:Mazda)

ちなみに同社の新世代商品とは、走行性能や環境性能を両立させる「スカイアクティブテクノロジー」や「魂動(こどう)」デザインを全面的に採用したモデルのこと。CX-8はその最新モデルであり、同社の国内向けSUVではフラッグシップモデルとなる。

その登場の背景には、マツダの最上級3列シートミニバンとしてから永らく君臨してきたMPVが2016年に販売終了し、また同じく3列シートミニバンのプレマシーとビアンテも2017年を持って相次いで生産終了したことで、受け皿となるモデルが必要になった、ということがある。

ベースは海外専用車のCX-9


マツダ CX-9の画像
マツダ CX-9 (北米仕様車)(photo:Mazda)

デザインやメカニズム面では、昨年デビューした2代目CX-5(2017年2月発売)との共通点が多いCX-8だが、プラットフォームやサスペンション等は海外専用車の2代目CX-9(2006年発売)がベース。ホイールベースはCX-9と同じながら、前後オーバーハングを合わせて165mm切り詰めている。それでもCX-8は全長4900mmの、堂々たる大型SUVだ。

 

マツダ CX-5の画像
2代目マツダ CX-5(photo:Mazda)

パワーユニットはCX-5用をベースに、新技術を盛り込んだ最新の2.2Lターボディーゼルのみを設定。最高出力はCX-5の175psから190psに、最大トルクは4420Nmから450Nmに増強されている。現行CX-5にはディーゼル意外に2.0Lや2.5Lの自然吸気ガソリンエンジンもあり、CX-9は2.5Lターボガソリンとなるが、CX-8はディーゼルのみになる。

また、先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」を標準装備するなど、トップクラスの先進安全装備が採用されているのもセールスポイントだ。

月販目標は1200台。初期受注は順調



(photo:Mazda)

CX-8の生産は広島の宇品工場で行われる。月販目標は1200台。

なお、受注開始の9月14日から約3か月間での予約受注台数は、目標の約6倍となる7362台。さらに12月14日の発売から一ヶ月後の1月15日時点での累計受注台数は、目標の10倍以上となる1万2042台とのこと。ほぼ受注生産のような状況で、1月末時点での契約では3月納車に間に合わないという。

マツダによれば、購入者は30代から40代が中心で、特に30代以下の若いカップルやファミリーが40%を占めるという。

■過去の新車試乗記
2代目マツダ CX-5(2017年6月掲載)
マツダ ビアンテ(2008年8月掲載)
マツダ CX-7(2007年1月掲載)


 

価格帯&グレード展開


全車2.2Lディーゼルで、319万6800円からスタート



マツダ CX-8 Lパッケージ(ソウルレッドクリスタルメタリック)(photo:Mazda)

先に書いたように、国内向けはマツダが誇る2.2L 直列4気筒クリーンディーゼルターボ搭載車(XD)のみ。よって全モデルがエコカー減税(自動車重量税と自動車取得税の100%免税など)の対象になる。トランスミッションは全車「スカイアクティブ・ドライブ」こと6速AT。駆動方式は全グレードでFFと4WDが用意されている。

 

マツダ CX-8 Lパッケージ ピュアホワイト内装の画像
マツダ CX-8 Lパッケージ(ピュアホワイト内装)(photo:Mazda)

装備や仕様違いでグレードは標準の「XD」、先進安全装備を備えた「XD プロアクティブ」(いずれも6人乗りと7人乗りを用意)、ナッパレザーシートやウッドパネルを装備した最上級グレード「XD Lパッケージ」(6人乗りのみ)の3種類を設定。価格は以下の通り。おおむね300万円から400万円のクルマ、と言える。

■XD (6/7人乗り) 319万6800円(FF)・342万9000円(AWD)

■XD PROACTIVE (6/7人乗り) 353万7000円(FF)・376万9200円(AWD)

■XD L Package (6人乗り) 395万8200円(FF)・419万0400円(AWD)

 

マツダ CX-8 Lパッケージ、ピュアホワイト内装の画像
マツダ CX-8 Lパッケージ(ピュアホワイト内装)(photo:Mazda)

なお、内装色は下位の2グレードはブラックのみだが、最上級グレード「XD Lパッケージ」の本革内装には、ディープレッド(実際にはレッドというよりダークブラウン)とピュアホワイト(その名の通り真っ白)の2種類が用意されている。国内フラッグシップ車らしい心意気を感じさせるピュアホワイトだが、汚れはそれなりに目立つと思われるので、かなりのオシャレさん用。

初期受注(受注開始から4ヶ月)の内訳は「プロアクティブ」が52%、「Lパッケージ」が42%と、先進安全装備を備えた上位グレードがほとんど。また、ボディカラーは「マシーングレープレミアムメタリック」が33%、「ソウルレッドクリスタルメタリック」が12%と、いまどき珍しく白・黒以外のカラーが上位に入っている。

 

パッケージング&スタイル


マツダ最上位SUVにふさわしく




デザインテーマは、これまで通り「魂動(こどう)」だが、CX-8については特に「TIMELESS EDGY(タイムレス エッジー)」をコンセプトに、時代を経ても古びないデザインや、国内のマツダ最上位SUVとして「風格や質感にこだわった」とのこと。

実際のところ、フロントデザインはCX-5とほぼ同じだが、メッキの桟が入ったフロントグリルはCX-8専用。リアもCX-5やCX-9にそっくりだが、ここはボディ外板から完全ベツモノになっている。大柄なボディの割にコンパクトなグラスエリアが、いかにも今どきのマツダ車らしく、CX-5よりも全長が長い分、伸びやか。普通のミニバンでは実現できないカタチになっている。

いわばCX-9のショート版




ボディサイズは全長4900mm×全幅1840mm×全高1730mm、ホイールベース2930mm。プラットフォームは先に触れた通り、海外専用車のCX-9がベースであり、全長はCX-5より355mm長いものの、CX-9と比べれば165mm短い。また、CX-5より230mmいホイールベースは、CX-9とまったく同じだ。つまりCX-9のフロアパンはそのままに、前後のオーバーハングを切り詰めてある。また、全幅もCX-9より80mmほど狭めて、CX-5と同サイズにしてある。

 



なお、ボディカラーは最近のマツダ車全体で人気だという特別塗装色「マシーングレープレミアムメタリック」(5万4000円高)や、今や広島カープをも象徴する「ソウルレッドクリスタルメタリック」(7万5600円高)、「スノーフレイクホワイトパールマイカ」(3万2400円高)など全7色。試乗車(写真)はジェットブラックマイカ。

 

    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
マツダ CX-5(2017?) 4545 1840 1690 2700 5.5
レクサス NX(2014?) 4630 1845 1645 2660 5.3?5.7
ボルボ XC60(2017?) 4690 1900?1915 1660 2865 5.7
レクサス RX(2015?) 4890 1895 1710 2790 5.9
マツダ CX-8(2017?) 4900 1840 1730 2930 5.8
ボルボ XC90 (2016?) 4950 1960 1760?1775 2985 5.9?6.0
レクサス RX450hL (2017?) 5000 1895 1725 2790 5.9
マツダ CX-9 (2016?) 5065 1969 1716 2930 ?

 

インテリア&ラゲッジスペース


インパネはCX-5とほぼ同じで、一部を専用デザイン




インパネについてはCX-5とおおむね共通だが、上位モデルにふさわしくセンターコンソールやドアトリムなどは専用デザイン。また、トップグレードの「XD Lパッケージ」には、このクラスの国産車では珍しいナッパレザーのシートや本物のウッドパネルを採用するなど、質感や素材にこだわっている。

シートレイアウトは都合3種類




見どころはやはり、その3列シート。と言ってもシートレイアウトは都合3種類あり、まず「XD Lパッケージ」の場合は、2列目がキャプテンシートで、その間に充電用USB端子付の大型センターコンソールを固定配置した2人×2人×2人の計6人乗り仕様になる。

 



つまり、この場合は、2列目のセンターウォークスルーができないが、後席の快適性を最重視する高級セダンのような使い方、いわば「ポスト高級セダン」的な使い方を想定している。

 


「XD」と「XD プロアクティブ」に設定されている6人乗り仕様(ウォークスルー仕様)

一方で、標準グレードの「XD」と中間グレードの「XD プロアクティブ」には、2列目がキャプテンシートで、2-3列目間でセンターウォークスルーが可能な2人×2人×2人の計6人乗り仕様と、2列目が3人掛けベンチシート(6:4分割式)で、2人×3人×2人の計7人乗り仕様の2通りが用意されている。用途や好みに応じて、どちらでもどうぞ、という設定だ。

 


「XD」と「XD プロアクティブ」に設定されている7人乗りベンチシート仕様

 

サードシートも意外に使える


マツダ CX-8のサードシートの画像

3列目のサードシートについては、「身長170cmでも無理なく快適に過ごせる空間」とマツダでは表現している。実際に座ってみると、若干ながら体育座り的な姿勢にはなるが、身長170cm以下なら、ヘッドルームは特に問題なし。足もとについては、センターウォークスルー仕様であるか、サードシートに一人で座るのであれば足を伸ばせるので、それなりに快適に過ごせそう、という印象。背もたれの角度やクッションの厚みなどは適切で、座り心地はSUVのサードシートとしては決して悪くない。とはいえ乗り降りは面倒なので、基本的にはエマージェンシー用もしくは子供用と考えた方がいいだろう。

荷室容量は239L(3列使用時)?572L(2列使用時)


マツダ CX-8、サードシート使用時の荷室の画像
サードシート使用時の荷室

3列目シート使用時の荷室容量は239L。A型ベビーカーやゴルフバッグ2個が積める、とあるが、おおむねBセグメント車、例えばヴィッツやスイフト、デミオくらいの荷室容量と考えていいだろう。買い物には十分で、便利な電動テールゲートの設定もある(Lパッケージに標準装備、プロアクティブにオプション)。

 

マツダ CX-8のサードシートを格納した状態の荷室画像

ここからさらに、サードシートのヘッドレストと背もたれを、その背もたれ背後に備わるレバーを引くことで格納できる(室内側からの操作は手が届かないので難しい)。この場合の荷室容量は572Lで、ゴルフバッグなら4つ積める、とある。この状態なら、大型ステーションワゴンのように使える。

 

マツダ CX-8のセカンドシート、サードシートを格納した状態の荷室画像

さらに、セカンドシートの背もたれを倒せば、大人が足を伸ばして横になれるフロアがほぼ水平に広がり、いざという時は車中泊も可能に。その場合、Lパッケージのキャプテンシート仕様車だとセンターコンソールの出っ張りが、あるいはセンターウォークスルー仕様なら、その空洞が気になるところだが、いざという時の備えとしては十分だろう。

 

マツダ CX-8の床下収納スぺース

なお、荷室床下には深さ307mm、最大容量65Lの収納スペースがあるが、メーカーオプションのBoseサウンドシステム装着車(8万1000円高)では左半分がサブウーファーで埋まってしまう。とはいえ、このBose、CX-5同様になかなかの重低音を響かせてくれるので、多少なりとも車内で音楽を楽しむ方なら、余分にお金を払う価値がある。

なお、スペアタイヤの搭載はなく、床下収納スペース内に電動エアコンプレッサーと充填剤のパンク修理キットが収納されている。


基本性能&ドライブフィール


めっちゃ進化した2.2ディーゼル




試乗したのはトップグレード「XD Lパッケージ」のFF車(395万8200円、Boseサウンドシステム等のオプション込みで411万4800円)。

パッと見、CX-5とそっくりだが、ボディが長いことで辛うじてCX-8と分かる漆黒のボディに乗り込む。走り出してアレっと驚くのは、記憶の中の現行CX-5 XDより明らかに静かで、出足も滑らかなこと。「カラカラカラ」というノック音だとか、発進時のちょっとしたもたつきがウソのようにない。

 



実のところ、エンジンの形式(カタシキ)はCX-5と同じで、「SKYACTIV-D 2.2」こと2.2L直4ディーゼルターボの「SH-VPTS型」なのだが、中身は「大幅」と言いたくなるくらいの改良型。新形状の「段付きエッグシェイプピストン」、「可変ジオメトリーターボチャージャー(VGターボ)」、高圧縮比(14.0 → 14.4)、そしてデンソーと共同開発した「超高応答マルチホールピエゾインジェクター」や「i-ART」制御システムなどを新採用することで、「急速多段燃焼」を実現したもの。「i-ART」と言えば、ボルボが「D4」エンジンで採用しているが、これはそれのマツダ版と言えるもの。

 



その結果、最高出力は従来エンジンの175psから190psに、最大トルクは420Nmから450Nmにアップそ、燃焼改善等によって騒音・振動も低減したという。そしてもちろん、例の「ナチュラル・サウンド・スムーザー」(ピストンピン内にダイナミックダンパーを内蔵してノック音を低減)などの新技術も盛り込まれている。

というわけで、欧州製ディーゼルと比較して、これまでマツダの2.2Lディーゼルにはやや辛めだったモーターデイズも、このCX-8のエンジンは文句なし。おまけに、エンジンが低回転からしっかりレスポンスするおかげで、これまで「8速ATだったらなぁ」と思っていたマツダの6速ATにも、まったく不満を感じなくなってしまった。

乗り心地の良さはCX-9譲り?




乗り心地もなかなかいい。今どきのSUVと言うと、足回りはけっこう硬めの設定が多いが、CX-8ではまったくそんなことはなく、重厚かつフラットで、滑らかな走りを見せてくれる。おそらくサードシートの乗り心地を重視したせいだろうが、乗り心地や静粛性について、少なくともセカンドシートまでなら全く不満を感じさせない。サスペンションは一般的なバネサスだが、これならエアサスペンションなど不要。ちなみに足回りもCX-9がベースだ。

静粛性については、室内天井部やDピラー付近への吸音材配置、風切り音を低減するエアロ形状のルーフレール(XD Lパッケージ)などで確保。ロードノイズに対しては、前輪フロントストラットへの振動抑制用ダイナミックダンパー、リアフェンダーパネル内側への制振材採用などで対策している。CX-8は確かに静かなクルマだ。

 



ハンドリングに関しては、このサイズ、この車重、そして試乗車はFF車ということもあって、血沸き肉躍るZoom-Zoomなものではないが、直進時からコーナリング時まで、しっとりとした落ち着きがあり、ゆっくり走っても充実感がある。また、ちょっとオーバースピード気味かな?という場合でも、シレッと素直に曲がってくれる。このあたり、微妙なスロットル制御でハンドリングを向上させるというマツダ独自の技術「G-ベクタリングコントロール」のおかげだろうか。

なにぶんトルクが大排気量V8エンジン並みの450Nmもあるので、低いギアで全開加速すると若干のトルクステアが生じるが、それをむやみにトラクションコントロールなどで抑え込まないのがマツダらしいし、問題とするほどではない。「i-ACTIV AWD(アイ・アクティブ・エーダブリュディー)」こと4WD車であれば、その点はおそらくまったく問題なく、雨天時などの安定感はさらに増すと思われる。

取り回しも意外に大丈夫




あと、心配だったのが全長4900mm、最小回転半径5.8mというボディの取り回しについてだが、これが意外に大丈夫。おそらくクルマの動きが意外に軽快なことや、見切りの良さが手伝ってだろう。全幅がCX-5と同じ1840mmなのも効いているはず。CX-9のままだったら……、日本国内では少々持てあますクルマになっただろう。

少し不満を感じたのは、新開発の「360°ビュー・モニター」(オプション)。ダッシュボード上のディスプレイがそれほど大きくないせいで、後退時にボディの前後4方向に取り付けたカメラによる「トップビュー&フロント/リアビュー表示」がされた時の、リアビュー表示が小さくて見にくいと感じた。とはいえ、センサーアラームもあることだし、慣れもあるので、これも大した問題ではない。

ACCの設定上限速度が180km/hに




先進安全装備については、おおむね現行CX-5と同様で、このクラスの新型車に備わっていて欲しい機能をほぼ完備したもの。停止まで行う全車速対応ACC、車線逸脱を抑制するだけでなく、車線の中央維持を支援するレーンキープアシスト、斜め後方からの車両の接近・存在を警告するブラインド・スポット・モニタリング(BSM)、12ブロック(従来は4ブロック)に分かれたLEDで照射範囲の自在な可変やハイ/ロー切替を自動で行うアダプティブLED・ヘッドライト(ALH)などを装備する。


 

マツダ CX-8 メーターの画像
右下に表示されているのがACCの設定速度

中でも感心したのが、ACCを使っての高速巡行。走行車線をデジタルカメラで読み取っての車線維持もなかなか上手にこなす。この手の性能では、もっと高価な欧州車と比べても劣るところはない。

なとど思いつつ、ACCの設定速度を上げていったら、なんと180km/hまでセットできてしまった(その速度で走ったわけではない)。大々的にアナウンスされていない話題のようだが、マツダ車としては初めて業界自主規制をやめたモデルかと思う(違っていたらご指摘を)。国産車でACCを180km/hまでセット可能なのは、モーターデイズが確認した限り、レクサス LCに続いて2例目だ(新型LSは未確認。スバルの最新アイサイト「ツーリングアシスト」はメーター表示上で135km/hまで)。

試乗燃費は11.6?13.6km/L




今回は約250kmを試乗。参考ながら試乗燃費はいつものように一般道や高速道を走った区間(約80km)が11.6km/L、
一般道を走った区間(約30km×2回)が12.8km/L、13.2km/L。郊外の一般道を走った区間(約30km)が13.6km/Lだった。

なお、JC08モード燃費は17.6km/L(FF車の場合。以下同じ)。また、新しく始まったWLTCモード燃費は15.8km/L、同市街地モード(WLTC-L)12.7km/L、郊外モード(WLTC-M)15.7km/L、高速道路モード(WLTC-H)18.0km/Lだ。

いずれにしても車重1.8トンのSUVとしては文句なしの燃費性能。しかも燃料は軽油で、ハイオクより約2割、レギュラーより約1割安いので、経済性も高い。

また、燃料タンクはFF車で72L、4WD車で74Lと大容量で、航続距離もかなり伸びそうだ。


ここがイイ


エンジンもシャシーも文句なし




試乗して感じたのは、とにかくエンジンもシャシーもすごく良くなっていること。これは誰でも乗ればすぐに分かる部分だろう。本文にある通り、エンジンは全域でトルクフルになったし、音も静か。乗り心地もいいし、ゆったり乗れる。これだけ静かで、トルクフルで、燃費もいいとなると、もはやV6のガソリンエンジンには手が伸びない。

こうなると、ボディの長さが気になる人、サードシートは不要という人を除けば、どうしても5より8を選びたくなってしまう。マツダはCX-8の販売好調の要因に、購入者の声として「車の大きさを感じさせない」「乗り心地のよさや静粛性は想像以上」などを挙げているが、まさにその通り。また、マツダが想定していた以上に「若いカップルやファミリー」にも売れているのも、要するにクルマの出来がいいからだろう。

スタイリングもフロントのロングノーズ感とリアの長さのバランスが合い、綺麗にまとまっている。すごく個性的だったり、スタイリッシュだったりはしはないが、さり気なく乗るにはこれくらいがいいだろう。

先進安全装備については現行CX-5と大差ないが、ACCの設定上限速度がさりげなく180km/hになってたりして、確実にアップデートされている。

ここがダメ


現行CX-5の立場


CX-8については特になしだが、このエンジンや乗り心地、静粛性は、昨年フルモデルチェンジしたばかりのCX-5にも欲しかったところ。フロアパンから異なる上級モデルとはいえ、CX-5との価格差は同等グレード同士なら50万円程度。車幅は同じだし、ユーザーとしてはそこをどう考えるか。少なくともエンジンに関しては今後、年次改良でこの最新バージョンにアップデートされるのでは。その際にはACCの設定上限速度の解禁もお願いしたく。

総合評価


好調マツダのすべてがここにある




たくさんのクルマに試乗してきたせいか、これはよくできているなあというのは、数100m走るだけで分かる。いや、そんなにたくさん試乗していなくても、おそらく誰だって、その場で何台かを乗り比べれば、その中からクルマのよさを感じとることはできるはずだ。とにかくCX-8はそういうクルマだった。むろんエンジニアの誰もが、そういうクルマを作りたいと苦労しているはず。しかし、様々な要因で出来上がったクルマすべてがそうなるわけではない。CX-8はなぜそうなったか。一つ言えるとすれば、マツダというメーカーの最高峰に位置するクルマゆえだろう。マツダが持てる全てを注ぎ込んだクルマということだ。

CX-8こそが the マツダだ。ここ10年ほど、いいクルマを連発してきたマツダのすべてがここにある。そして価格は高いが、その分、いい物が作れるということも、もちろんある。それにしても400万円を越えるマツダ車が、初期受注で1万台を超える時代がくると、かつて誰が想像できただろうか。

輸入車だったら5割増し?




CX-8はそんなマツダの国内フラッグシップだが、それがSUVだということは、時代を感じさせると同時に、マツダにとってはむしろ幸いだろう。レクサスが苦しんでいるように、高級セダン市場は欧州車を中心とする伝統的なブランド車の独壇場だ。しかしSUVなら、伝統ブランドとも対等に戦える。そこにマツダのすべてを注ぎこんで、高級ブランド車よりリーズナブルな価格をつけられるのだから、勝負になるということ。このCX-8の内容で高級ブランド車だったら、売値は5割増しになるかも。輸入車ゆえのコスト差はあるにせよ、ボディサイズや性能面では同クラス車と言ってもいいボルボ XC60との価格差はかなりのもの。そう考えるとマツダ車としては高く感じる価格も、けして高くはないわけだ。

また大型SUVなら多人数乗車にも対応できる。日常的な使用なら、クルマの多くは2人乗りで十分だ。4人乗ることが年に何回あるか考えてみて欲しい。とはいえ年に何回かは確実にあるし、事情によってはそれがずいぶん多いこともあるだろう。それゆえ4人乗り、5人乗りは必要条件ということになる。話はちょっとズレるが、クルマが所有ではなく、必要に応じてレンタル・シェアされる時代となった場合、シェア車両は2人乗りがすごく多くなるように思う。そして必要に応じて多人数が乗れるクルマを借りる。であれば、未来のクルマ社会はそんな2人乗りEVが主流の時代ということになりそうだ。

最高峰モデルをダウンサイジング




話を戻して、現代でより多人数が乗れるクルマは、と考えると、それはそれで子育て世代を中心に高いニーズが存在する。そして時には3世代で乗ることを考えると、ミニバンがよく売れるのは当然のことと思う。しかしミニバンはミニバン。好きなクルマに乗りたくても渋々ミニバンに甘んじている人は少なくないはず。ここに多人数が乗れるSUVの入る余地がある。国内向けの日本車には今のところ数えるほどしかないが、おそらく今後はもっと各社から出てくるのではないか。シェア時代ではない現代では、大は小を兼ねるから。

ただその場合、ミニバンよりスペース効率は悪いから、ボディは大型化することになる。北米なら全長5m超、全幅1.9mでもそう苦にならないだろうが、日本では4.9m、1.85mくらいが限界だ。特に都会の駐車事情では1.85mを越えると物理的にとたんに厳しくなる。逆に言えば、全幅がその程度に収まっていて、取り回しがよければ、日本でもほぼ大丈夫。CX-8はまさにそんなクルマで取り回しも悪くない。タワーパーキングもこれなら入るところが多いと思う。そしてフル乗車時の居住性も悪くない。

要するにマツダは海外市場での最高峰であるCX-9を日本向けにダウンサイジングして、日本での最高峰車CX-8にしたということ。かつてトヨタが北米向けに開発した初代エスティマをダウンサイジングして、5ナンバー枠(1700mm未満)に収まるエミーナ/ルシーダを出したが、現代においては、それが1850mmくらいになったということだろう。

日本のイヤーカーにするならこれ




そんなCX-8で、もう一つ素晴らしいのが先進安全装備だ。ACCの設定上限速度が180km/hになっていることも含めて、低速域から高速域までかなり自動運転に近い感覚で走ることができる。安全性能にコストを掛けるという点では、今やメーカーとユーザーはウインウインの関係が構築できている。ということで、マツダに限らず普段はあまりメリットを感じることがないヘッドアップディスプレイまで、なんだか違和感なく普通に使いこなせたことを報告しておきたい。映り込みなどの違和感がなければ、あの位置で情報が得られることは素晴らしいことだと思えた。

 



ディーゼルエンジンのできの良さ、そこからくる経済性、そして最新の衝突安全・運転支援装備を含めて、日本でのイヤーカーにするならボルボXC60より、CX-8だと思った。COTYで細かく点を稼いで選ばれたXC60と違い、これなら10点を配点する人は多いのではと思う。9月に受注が始まっているのに、発売日を年末ぎりぎりにしたのは、COTYにはCX-5だけをエントリーさせたいという配慮もあったのかな、なんて思ったりした。


 
Source: MOTOR DAYS 最新コンテンツ