ランドローバー レンジローバー ヴェラール:新車試乗記

キャラクター&開発コンセプト

スポーツとイヴォークの間に位置する第4のレンジローバー

ランドローバーの新型ミッドサイズ・ラグジュアリーSUV「レンジローバー ヴェラール」は、「レンジローバー イヴォーク」と「レンジローバー スポーツ」の中間に位置する新型車。「レンジローバー」ファミリーとしては、ヴォーグ、スポーツ、イヴォークに続く4番目のモデルだ。 ワールドプレミアは2017年3月に英国ロンドンの「デザイン・ミュージアム」で行われ、同3月にジュネーブショーに出展。日本では7月11日に受注をスタートし、8月から順次デリバリーが始まっている。
 
コンセプトは「前衛的(アバンギャルド)なレンジローバー」。キーワードにはGlamour(魅惑)、Modernity(近代的)、Elegance(優雅さ)などが挙げられているが、平易に言えば“新しいタイプのユーザーに向けた新しいタイプのレンジローバー“。ランドローバーの名に恥じない悪路走破性を備えつつ、先進的なデザインやテクノロジーを売りとしている。 プラットフォームは2016年にデビューしたジャガー初のSUV「Fペース」と同じで、ボディの80%以上にアルミ合金を使用した軽量モノコック車体構造が採用されている。

エンジンは2Lのディーゼル&ガソリンと3Lのガソリン

エンジンはすべてジャガー・ランドローバー自製の新世代環境ユニットで、すでに定評のある2.0L 4気筒「INGENIUM」ディーゼル(180ps・430Nm)、2018年モデルからジャガー・ランドローバーの両方で搭載が始まった新世代2.0L 4気筒「INGENIUM」ガソリン(250ps・365Nm版と300ps・400Nm版の2種類)、そして以前からある3.0L V型6気筒スーパーチャージド・ガソリン(380ps・450Nm)が用意されている。
 
また、2つの高解像度10.2インチタッチパネルからなる最新インフォテインメント・システム「Touch Pro Duo」を備えた斬新なデザインのインターフェイスも見どころだ。
 

生産は英国ソリハル工場

生産はランドローバー誕生の地である伝統のソリハル工場(英国ミッドランド州)。なお、ジャガー Fペースも同工場で生産されている。 ジャガー・ランドローバーは現在、すべてのモデルを英国内の4工場(うち車両製造工場は3つ)で生産しており、2016年の世界販売台数は58万3313台。そのうち44%が「レンジローバー」ブランド車だった。ただし同社では目下、スロバキアに新工場を建設中のほか、来年発売する電気自動車「ジャガー Iペース」についてはマグナシュタイアー社のオーストリア・グラーツ工場に生産委託する予定だ。
 
ジャガー Fペース(2016年)
「Velar」という名称は、1969年に発表された初代レンジローバーのプロトタイプ26台につけられた愛称で、ラテン語で「(ヴェールで)覆う」を意味する「velare」から派生したもの。 ■過去の新車試乗記 新車試乗記>ジャガー Fペース(2016年9月掲載)
 

価格帯&グレード展開

699万円から。主軸は900万~1000万円前後

ヴェラール(標準車)
搭載エンジンは前述の通り、2.0Lのディーゼル(180ps)、2.0Lのガソリン(250ps版と300ps版)、3.0L V6スーパーチャージドのガソリン(380ps)の大きく分けて3種類。トランスミッションはこのクラスの欧州車で今や定番のZF製8速AT。駆動方式は電子制御式4WDになる。 グレードは装備内容の違いで標準車、「S」、「SE」、「HSE」の4種類。そして内外装の違いで標準車と「R-DYNAMIC」の2種類がある。
 
ヴェラール R-DYNAMIC
価格は699万円からスタートするが、中位グレードでもオプション選択の自由度が高いため、仕様によってはかなり高額になる。ざっくり言って4気筒モデルなら900万から1000万円、V6モデルなら1000万円から1200万円といったところか。 なお、日本市場へのデリバリーは、V6ガソリンから始まり、この10月から直4のディーゼル、さらに年末か来年初から直4のガソリンが入ってくる予定。
 
■2.0L 直列4気筒「INGENIUM」ディーゼル(180ps・430Nm) VELAR (標準車/S/SE/HSE)  699万円/800万円/872万円/1005万円 VELAR R-DYNAMIC (標準車/S/SE/HSE)  747万円/848万円/920万円/1053万円 ■2.0L 直列4気筒「INGENIUM」ガソリン(250ps・365Nm) VELAR (標準車/S/SE/HSE)  715万円/816万円/888万円/1021万円 VELAR R-DYNAMIC (標準車/S/SE/HSE)  763万円/864万円/936万円/1069万円 ■2.0L 直列4気筒「INGENIUM」ガソリン(300ps・400Nm) VELAR (標準車/S/SE/HSE)  778万円/879万円/951万円/1084万円 VELAR R-DYNAMIC (標準車/S/SE/HSE)  826万円/927万円/999万円/1132万円 ■3.0L V型6気筒スーパーチャージド・ガソリン(380ps・450Nm) VELAR (標準車/S/SE/HSE)  908万円/1009万円/1081万円/1214万円 VELAR R-DYNAMIC (標準車/S/SE/HSE)  956万円/1057万円/1129万円/1262万円 VELAR FIRST EDITION  1526万円(2018年モデルのみの限定車) 最後の、別格に高価な「ファーストエディション」は、ヴェラール発売を記念したフルオプション車で、22インチホイール、HUD(ヘッドアップディスプレイ)、マトリックス・レーザーLEDヘッドランプなどを標準装備。ボディカラーは特殊車両制作部門「SVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)」が手がけるサテンフィニッシュのスペシャルペイント(フラックスシルバー、コリスグレー、シリコンシルバーの3色)になる。
 

パッケージング&スタイル

無駄を排除したモダンなデザイン

「前衛的(アバンギャルド)なレンジローバー」というコンセプトで開発されたヴェラール。一番の特徴はワールドプレミアの場所がロンドンのデザイン・ミュージアムだったように、そのモダンなデザインだろう。 資料にはそのデザインコンセプトを語るうえで「リダクショニズム(還元主義)」という難解な用語も引かれているが、その意味は、無駄を排除してすっきりとしたデザインに仕上げる、複雑なものを取り払って本質を明らかにする、といったところだ。
 
具体的には、なめらかな面と曲線を使いつつ抑揚を抑えたボディライン、全幅1930mm、全高は1685mmというワイド&ローの寸法比、最大で22インチ(265/40R22)仕様もある大径タイヤ(試乗車は265/45R21)、チョップドルーフ的な小さなサイドウインドウ、ランドローバー初(ジャガー・ランドローバーとしてはFタイプに続いて2例目の)ドアパネル格納式デプロイアブル・ドアハンドル(ロックもしくは時速8㎞/h以上で格納することでランドローバー史上最も低いCd値0.32を実現)などによって、確かに「アバンギャルドなレンジローバー」となっている。全体に地味に見えるとすれば、それはまさしくブリティッシュ・デザインだからだろう。 なお、現在ランドローバーブランドのデザインチーフは、現行レンジローバー(2012年)やレンジローバースポーツ(2013年)などを手がけたジェリー・マクガバン(Gerry McGovern)。ローバー時代にはMGFや初代フリーランダーも手がけたようだが、その名を一躍有名にしたのはやはりイヴォーク(2011年)だ。

オフロード走行にも対応

一方で、初代レンジローバーを思わせる伝統的なデザインも継承している。例えば渡河時に上からエンジンルーム内に水が侵入しにくいクラムシェルタイプのボンネット、ディパーチャーアングルを確保するリアバンパー形状などがそうだ。 ちなみに悪路走破性の指標となる各種スペック(コイルサス仕様/エアサス仕様)は、対地クリアランスが213mm/251mm、渡河水深が600mm/650mm、アプローチアングルが25.06°/27.15°、ブレイクオーバーアングルが21°/23.5°、デパーチャーアングルが26.80°/29.07°と、競合する他社SUVと比べても優秀。さすがランドローバー。 なお、ヴェラールは路面状況に合わせて走行モード(エンジン、ギアボックス、ディファレンシャル、サスペンションなど)を最適に設定する「テレイン・レスポンス」を標準装備し、さらに走行状況をモニターし、自動的に最適な車両設定を行う「テレイン・レスポンス2オート」もオプションで用意している。
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
ポルシェ マカン(2014~) 4681~4699 1923 1624 2807
ジャガー Fペース (2016~) 4740 1935 1665 2875 5.6
メルセデス・ベンツ GLE クラス (2015~) 4815~4855 1935~1965 1760~1795 2915 5.5
レンジローバー ヴェラール(2017~) 4820 1930 1685 2875 5.8
レンジローバー スポーツ(2013~) 4855 1985 1800 2920 6.1
レクサス RX (2015~) 4890 1895 1710 2790 5.9
BMW X6 (F16型、2014~) 4925 1990 1700 2935 5.9
ボルボ XC90 (2016~) 4950 1960 1760~1775 2985 5.9~6.0
レンジローバー ヴォーグ (2013~) 5005 1985 1865 2920 6.1
 

インテリア&ラゲッジスペース

新世代インフォテイメントシステム「Touch Pro Duo」を採用

インパネのデザインも斬新だ。目を引くのはセンターコンソールに配置された2つの高解像度10.2インチのタッチスクリーン。この「Touch Pro Duo」と呼ばれるインフォテインメント・システムは、アッパースクリーン(30度まで電動で角度調整が可能)が主にナビゲーションやオーディオなどのインフォテイメント系の操作を担い、ロアスクリーンが主にエアコンや走行モード系の操作を担う。
 
さらに、メーターパネルもフル液晶ディスプレイなので、ここにも各種情報や地図の表示が可能。こういったメーターディスプレイは今や高級車では珍しくないが、ヴェラールの液晶メーターは横にワイドで、かなり見ごたえ?がある。また、いちおうオプションで通信モジュールを使ったコネクテッド機能なども用意されている(試乗車は未装着)。
 
目指したのは有能な「デジタル執事」とのこと。いかにも英国車らしい表現だ。 なお、ジャガー Fペースで導入された防水・耐衝撃リストバンド型アクティビティキー(オプション)もレンジローバー車で初めて採用されている。
 

多彩なオプション。ただし全車5人乗り

試乗車はレザーや新開発のテキスタイルを表皮に使った電動スポーツシート仕様で、オプションの電動調整式ステアリングコラムも装備(6万2000円もするが)。座り心地やホールド性は悪くないが、座面がかなり前後に長いため、小柄な人だと少し前下がりにしたくなる。
 
リアシートの広さや座り心地は申し分なく、乗り降りもまずまずスムーズ。試乗車はオプションの電動スライド式パノラミックグラスルーフ付だったが、これが29万6000円もしてびっくり。 なお、ランドローバー ディスカバリーやレンジローバースポーツではオプションで3列シートの7人乗りも選べるが、ヴェラールは2列シートの5人乗り仕様のみだ。

トランク容量は673L~1731L

トランク容量は後席使用時が673L、後席背もたれを畳んだ時が最大1731Lと、大型ステーションワゴンを優に上回る。リアシートの背もたれは当然ながら40:20:40の3分割だ。
 
また、オプションでハンズフリー型の電動テールゲートも選べるほか、エアサスペンション仕様であればリアゲートを開けた時にリアの車高を自動的に下げて、荷物の出し入れを楽にする機能も備わる。
 
床下にはパンク修理キットと工具、そして小物入れがある。さらに発泡プラスチック製のボックスを外した下には、補器用バッテリーのほか、エササスペンション仕様の場合はエアのリザーバータンクとコントローラーが収まる。
 

基本性能&ドライブフィール

V6のエアサス仕様に試乗

試乗したのは「Rダイナミック」仕様のボディに、V6スーパーチャージドエンジン(380ps、450Nm)を搭載した「ヴェラール Rダイナミック P380 SE」(車両本体1129万円。オプション込みで約1230万円)。 試乗車は電子制御エアサスペンション仕様で、速度や路面状況などに合わせて自動的に車高調整を行う。例えば105km/h以上では標準車高から10mm下げて空気抵抗低減と燃費向上に貢献。オフロード走行時(50km/h以下)には46㎜車高を上げて、最低地上高251㎜を確保。また、エンジンを切るかシートベルトを外すと、車高を10mm、ドアを開けるとさらに30mm下げて、乗降性を高める、という具合に。とはいえ、標準車高がそんなに高くないせいか、その動きはそんなに派手ではない。
 
アルミ製ボディにV6スーパーチャージド、ZF製8速AT、電子制御4WDというメカニズムはFペースと同じで(生産も同じソリハル工場)、走らせた感覚もそれに近いが、そこはやはり貴族のクルマ、レンジローバー。同じV6エンジン搭載車同士で比べても、価格帯はヴェラールの方が100万円以上高く、その分だけレンジローバーらしい静粛性やゆったり感が上乗せされているように感じる。 試乗車の車重は、同じV6エンジンのFペースより60kgほど重く、約2トン(2060kg)あるが、最高出力は380ps、パワーウエイトレシオは5.4kg/psとちょっとしたスポーツカー並み。0-100km/h加速は5.7秒、最高速度は250km/h(リミッター作動)を誇る。ちなみに3.0L V6ターボエンジンを搭載するポルシェのマカンSは、それぞれ5.4秒、254km/hで、まぁほぼ互角だ。
 
ということで、アクセルを踏めばヴェラールは超速いのが、そこはレンジローバーの人徳ならぬ車徳というか、べつだん飛ばす気にさせないのがいいところ。法定速度で走っていても、フラストレーションはない。 なお、2.0Lディーゼルターボ仕様は、最高速度209km/h、0-100km/h加速8.9秒と、こちらもなかなかの俊足。動力性能はこちらでも何ら不満はないと思われる。

エアサスで路面や速度域を選ばず

試乗車はエアサスペンション仕様で、これが低速での乗り心地と高速域での安定性にかなり効いている感じ。乗り心地は若干硬めで、特に走行モードで「ダイナミック」を選択すると、一般道では落ち着きがなく、乗り心地も硬めになるが、「コンフォート」を選択した場合は終始滑らかに足が動き、ワインディングでもかえって乗りやすい。いろいろ試した結果、「オート」もしくは「コンフォート」に入れっぱなしがいい、という印象を持った。 なお、駆動方式は「インテリジェント・ドライブライン・ダイナミクス(IDD)」呼ばれる電子制御AWDで、これもメカニズム自体はFペースと同じだが、プログラムはヴェラール専用とのこと。前後トルク配分は通常時50:50で、そこから状況に応じて0:100から100:0まで変化させる、と資料にはあるが、メーターの情報ディスプレイにリアルタイムで表示されるトルク配分を見る限り、通常は0:100で、加速時に適宜フロントへトルク配分しているように見えた。

レーンキープ・アシストやACCは基本的にオプション

運転支援システムについては、レーンデパーチャーワーニング(車線逸脱警告機能)、自動緊急ブレーキ、360度ビュー&パーキングガイド機能付きサラウンドカメラ・システムは標準装備される。 ただし、ブラインド・スポット・アシスト、レーンキープ・アシスト、そしてACC(アダプティブ・クルーズコントロール」は、主力グレードでもメーカーオプション扱い。そして約1200万円もする試乗車にも装備されていなかった、、、。

マトリックスLEDヘッドランプを採用。さらにレーザータイプも用意

ヘッドライトには先行車や対向車を検知しながらロービームとハイビームの切替をバリアブルに行う「インテリジェント・ハイビーム・アシスト」と「アダプティブ・フロント・ライティング・システム」を備えた「マトリックスLEDヘッドランプ」を採用。もはや手動でのハイ/ロー切替はほとんど不要と言えるくらい、常に適切な配光をしてくれる。このあたりはバリアブルに照射範囲を可変してくれる他社の最新LEDヘッドライト同様だ。 そして、さらに高度なライトシステムとして、光軸を操舵角度に合わせたり、550m先までハイビームで照らしたりする(80km/h以上)「マトリックス・レーザーLEDヘッドランプ」もオプションで用意。オプション次第で最先端装備を装着できるのが高級車らしい。

試乗燃費は7.3~7.8km/L。JC08モード燃費は10.0km/L

今回は約400kmを試乗。試乗燃費はいつもの一般道と高速道路を走った区間(約80km)が7.3km/L。また、一般道を普通に走った区間(約30km×3回)が6.7km/L、7.6km/L、7.8km/L。高速道路を巡行した区間(約80km)が10.0km/Lだった。JC08モード燃費は10.0km/L。380psのV6エンジン、2トン超の車重、フルタイム4WD、21インチのタイヤを履いた大型SUVの割にはいい数値だと思った。 ただし使用燃料はもちろんハイオク。経済性では2.0Lのディーゼルがよさそうだし、遅れて日本市場に入ってくる2.0Lのガソリンもいいかもしれない。 意外だったのは燃料タンク容量が63L(2.0Lディーゼルは60L)と、重量級の割に比較的小さいこと。パワートレイン自体の燃費性能がいいからだろうか。

ここがイイ

先進的なデザイン。インターフェイスの液晶ディスプレイ化

デザインについては好みもあるが、とりあえず前衛的なレンジローバーという目標通り、エクステリアもインテリアもデザインは斬新。また、ジェリー・マクガバンのデザイン監修により、レンジローバーからイヴォークまでデザインテイストに統一感があり、なおかつ金太郎飴にならず、それぞれがキャラクターやセグメントに合わせてデザインされているのも見事。ブランドとしてのデザイン戦略は、イアン・カラムがデザインチーフを務めるジャガーよりも上手く行っているように思える。それは手腕の差というより、SUV専門で70年以上やってきたランドローバーブランドに負うところも大きいとも思うが。 ディスプレイは多い方がいい、というモーターデイズの長年の主張通り、大型の液晶ディスプレイを最大3つも備えること。フル液晶メーターは地図も表示できるし、センターコンソール側の上下2つのディスプレイはタッチパネル式だ。まぁその割にやれることは少ないし、操作性には少々難もあるが(後述)、方向性としては正しい。

ここがダメ

スイッチ等の操作性。ACCやLKAがオプション

「Touch Pro Duo」やフル液晶メーターは方向性としては正しいが、問題は物理的なボタンやダイヤル類が極限まで減らされているため、操作性に難があること。 一番戸惑ったのはエアコン操作画面や走行モード選択画面を切り替えて使うロアスクリーンのタッチパネルにおいて、ロータリー・コントローラーの役割がそれぞれの画面モードにおいて異なること。例えばエアコンの設定温度を変えようと思ってダイアルを回しても、その時に走行モード選択画面になっていると、意図せず走行モードが変わってしまう。これは知っていれば問題ないとも言えるが、実は試乗している途中、オフロードモードでしばらくオンロードを走ってしまった。
 
ヴェラールが初採用ではないが、ステアリングコラム左側にはえるレバーの先端にある電子制御ライトスイッチの操作性も戸惑う部分。モード自体はオフ、スモール、オン、オートと普通だが、レバーを回しても中立位置に戻るタイプなので、メーターのインジケーターを見ないと、今どのモードなのか分からなくなる(特に昼間の消灯時)。慣れれば問題ないのだろうが、場合によっては夜間うっかり無灯火で走ってしまいそう。いっそメルセデス・ベンツのように、オフがなく、オートライトがデフォルトの方がいいように思える。
 
この価格帯のクルマにあってACCがオプションであること。試乗車はオプション込みで1200万円もするのに、ACCやLKA(レーンキープアシスト)は未装備だった(自動ブレーキは標準装備)。オプション設定の自由度が高い高級輸入車にはありがちなことだが、もはやACCやLKAは300万円台の国産車やVWゴルフあたりでもほぼ標準装備になりつつあるわけで。

総合評価

団塊ジュニア世代が高級SUVを支える

株式会社デイズがある名古屋には、エイチームという上場IT企業がある。デイズと同じ創業20年の会社だが、こちらは昨年度の年商が346億円、利益は25億円という巨大企業に成長した。ゲーム開発がメインの会社だが、先日の報道では豊富な資金を今後はITベンチャー投資に回していくとのこと。自らのIT的成長はすでにひと段落、次世代の会社を成長させていきたいということなのだろう。20年でそういうサイクルに入ってきているということだ。 この会社の社長は40代半ばで、愛知県の隣の岐阜県出身。いわゆるIT成功者だが、昨今、IT業界に限らず、こうした40代の成功者をよく見かける。若い頃に始めた事業が、ついに花開いた人がけっこう多い。まあその影には累々たる失敗者がいるわけだが。そしてこの40代半ばというのは、いわゆる団塊ジュニアと呼ばれる世代になる。 団塊ジュニアの親となる団塊世代は、戦後のベビーブーマーで、日本の高度成長とともに生きてきた世代だ。現役時には働き蜂だったが、その結果、現在では勝ち組、逃げ切り組などと呼ばれ、今はそれなりに幸せな老後を送っているようだ。また、もうひとつ上の世代から受け継いだ資産がある人も多く、豊かな(豊かだった)日本を象徴する世代といえるだろう。しかし世代人口が多いだけに、下流老人を先取りしている人もかなりいるようではある。そしてこの世代は、第一次モータリゼーション世代。つまりクルマ好きが多い。
 
その子供層である40代の団塊ジュニア世代は、さらに下の世代と比べて親の影響もあってか、クルマ好きが多いように見受けられる。今の若者世代と違って、若い頃から自分でクルマに乗ってきた、あるいは乗らざるを得なかった世代であり、高校生の頃に1989年、いわゆる「日本車の偉大なる画期」を迎えており、免許を取得する頃に1990年代の素晴らしい日本車に乗ることができた世代だ。そんな世代に今、成功した人、一山当てた人、親からの財産がある人、いわゆるお金持ちが多くいる。そういう人たちこそが、昨今の高級SUV販売の好調を支えているのだろう。 40代半ばといえば、まだまだ若さも残っていて、様々なことにやる気があり、カッコもつけたいお年頃だ。そしてこだわりのファッション、こだわりのライフスタイル、こだわりのクルマと、モノに対するこだわりの強い人が多い。お金があればこれらにつぎ込むことは厭わず、その結果、街には高級SUVが溢れているように思う。
 
また最近よく見るのは、彼らの奥さん世代がSUVに乗っている姿だ。スポーツカーでは無理だが、SUVならファミリーカーにもなるから、その意味で高級SUVは無理なく買えるということだろう。また、カッコつけという部分では押しの強さも欲しいところだから、特にヤンキー気質を持つ人にはSUVは魅力的なのだろう。 そこでこのヴェラールだが、まさにそんな世代を狙ったクルマといえそう。この価格帯の高級SUVを買える人なら、いっそレンジローバー ヴォーグを買えばいいのにと思ったりもするが、ヴォーグでは若々しさに欠けるのだろう。その意味で、このクルマの登場する意義があるわけだ。外観のいかにもスマートなカッコよさ、内装のモダンなカッコよさというあたりは、「四駆」ならもうちょっとゴツくて、レンジローバーであるなら、もっとウッディな内装で、などと思う団塊世代とは異なる価値観となる。IT業界を牽引してきた世代にウケるハイテク感も重要なところで、なるほどそういった目で見れば、このクルマの成り立ちが理解できてくる。
 
団塊ジュニア世代は昔からのクルマ好きだから、エンジンの咆哮や、エアサスはじめ様々なメカメカしい部分などはけっこう重要な要素。走ることに特化したスポーツカーのような性能は持ち合わせていないが、ヴェラールのスポーツ性能であれば相当なクルマ好きでもまずは不満のないところ。さらにSUVとしての心理的な安心感もあるわけで、なるほど、こうして考えていくと、これほど団塊ジュニアの高所得者層にはピタリとハマるクルマはない。この世代にとって重要な「ブランド力」もレンジローバーゆえ絶大なものがあるのだし。

モダンな「四駆」が欲しい人に

ところで、60km/h程度で流す時の、エンジンの力感、タイヤの接地感、どっしりとした乗り心地など、低速で走っていて気持ちよい感覚に満ちていたのは、ヴェラールの試乗で最も良かったと思えたところだ。燃費を稼ぐためか、こうした速度域で妙に軽快感、あるいは空走感が強いのは昨今のクルマの傾向だが、ヴェラールは大排気量車のようなトルクに乗って走る感覚が昔のクルマっぽくて気に入った。その分、燃費もいまいちかと思ったが、考えてみれば2トンを越えるクルマでエンジンをぶん回して乗って7km/L台の燃費というのは、昔では考えられないほど優秀ということになる。感覚的には5km/h以下でもおかしくない。なるほどさすが最新車、この点でも脱帽だ。 団塊ジュニアに限らず、モダンな四駆が欲しい人にとっては良い選択肢が増えた。これに乗れるのは、ひとまずの成功者であることの証。クルマも人も、その絶対数がそう多くはないという点でもマッチする。そういう時代ということだろう。
 

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