キャラクター&開発コンセプト


「MQBプラットフォーム」を採用



新型ポロ(photo:VGJ)

欧州では2017年6月に発表、日本では2018年3月20日に発売された新型「ポロ」は、up!(Aセグメント)とゴルフ(Cセグメント)の間に位置するBセグメントのコンパクトカー。

 


初代VW ポロ(1975年)(photo:VGJ)

初代ポロは1975年にデビュー。約8年ぶりのフルモデルチェンジで登場した新型は6代目にあたる。世界累計販売台数は1400万台以上、本格導入は1996年からだった日本でも25万台以上が販売されたベストセラーモデルだ。

 


新型ポロ(photo:VGJ)

新型ポロのトピックは、ゴルフ7(2012年発売、日本導入は2013年)から始まった「MQBプラットフォーム」が採用されたこと。MQB(ドイツ語でModularer Querbaukasten)とは「エンジン横置FF車用モジュール」を意味し、VWでは現行のパサート、ティグアンなど、アウディではA3やTTなどで採用されている。

MQBプラットフォームによって、全長は従来の3995mmから4メートル超の4060mmに、全幅は1685mmから3ナンバー幅の1750mmに拡大。室内の広さに影響するホイールベースも80mm延長されている。操縦安定性や静粛性などの諸性能も底上げされた。


先進装備を充実。3気筒の1.0L TSIエンジンを採用



Apple CarPlay(photo:VGJ)

先進安全・運転支援装備についても、MQBの採用によって充実。ミリ波レーダーによる歩行者検知機能付のプリクラッシュブレーキシステム 、全車速対応ACC(アダプティブクルーズコントロール)、ブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)などを採用。また、高まった内外装質感、上級モデルと同様のインフォテイメントシステムも見どころ。

 


1.0L TSIエンジン(photo:VGJ)

エンジンは、先代ポロで主力だった4気筒ターボの「1.2 TSI」に代えて、新型では3気筒ターボの「1.0 TSI」を採用。これまで以上のダウンサイジングとレスシリンダーを推し進めている。

 

価格帯&グレード展開


ひとまず全車1.0Lターボで209万8000円?265万円



新型ポロ TSI トレンドライン(photo:VGJ)

欧州仕様のエンジンは、自然吸気の1.0L 3気筒、1.5L 4気筒ターボの「1.5 TSI」、ディーゼルターボの「1.6 TDI」、新型ポロ GTIの「2.0 TSI」など多種多様だが、日本市場にはひとまず1.0L 3気筒ターボ「1.0 TSI」(95ps版)が導入された。

トランスミッションは欧州だと5速/6速のMTが主だが、日本向けは全車、先代と同じ7速DSG(いわゆるDCT=デュアルクラッチトランスミッション)になる。

 


新型ポロ TSI コンフォートライン(photo:VGJ)

グレードは3種類。標準車は「トレンドライン」で、中間グレードの「コンフォートライン」は、2ゾーンフルオートエアコン、15インチアルミホイール、リヤビューカメラ(バックモニター)を標準装備し、さらにパッケージオプションの「セーフティパッケージ」(11万8800円)でACC等の運転支援装備を追加できる。

最上級グレードの「ハイライン」では、ACC、LEDヘッドライト、キーレスアクセス、16インチアルミホイール等が標準装備になり、さらにハイライン向けの「セーフティパッケージ」(9万7200円)でパークディスタンスコントロール等の運転支援装備を追加できる。

 


新型ポロ TSI ハイライン(photo:VGJ)

ボディカラーは、テーマカラーの「エナジェティックオレンジメタリック」やVWの定番色「フラッシュレッド」などで全8色。VWにしては豊富な方だが、高級感のある「アイボリーシルバーメタリック」と「ホワイトシルバーメタリック」はハイライン専用色になる。

New Polo (1.0L 3気筒ターボ + 7DSG)
■TSI Trendline  209万8000円
■TSI Comfortline 229万9000円
■TSI Highline    265万円 ※試乗車


8インチディスプレイは全車標準。純正ナビは11万8000円



純正インフォテイメントシステム「ディスカバープロ」(photo:VGJ)

インフォテイメントシステムについては、全車に8インチディスプレイ、AM/FMラジオ、CDプレーヤー、Bluetooth、スマホアプリと連携する“App-Connect”等を備えた「コンポジションメディア」を標準装備。

さらに、コンフォートラインとハイラインでは、メーカーオプションでナビゲーションシステム、DVDプレーヤー、地デジ等をセットにした「ディスカバープロ」(22万6800円)を装着できる。

実際の販売主力は、コンフォートラインかハイラインのセーフティパッケージ付、と推測されるが、となるとナビ無しでも価格帯は240万?275万円ほどで、現行のゴルフ7(253万9000円?)と完全にオーバーラップする。


 

パッケージング&スタイル


外寸は一昔前のゴルフ並み




ボディサイズ(先代比)は、全長4060mm(+65)×全幅1750mm(+65)×全高1450mm(?10)、ホイールベース:2550mm(+80)と、全高を除いて全方向で拡大。全長はついに4メートルを超えて3世代前のゴルフ4(4155mm)に迫り、全幅はゴルフ5(1760mm)並みに、ホイールベースは1世代前のゴルフ6(2575mm)並みと、要するに一昔前のゴルフ並みになった。

 



最小回転半径も、先代の4.9mから5.1mに拡大。そのせいか「思ったほど小回りが効かないな」という感じは、正直なところ少しある。ちなみにゴルフ6は5.0m、ゴルフ7は5.2mだから、数値的にはその中間ということになる。

スポーティさ重視




実車の印象は、少なくとも横から見る限り大きくなった感じはしないが、真正面から見ると、ああ確かに3ナンバー。全高が低いせいもあり、ポロとは思えないワイド&ロー感がある。

パッケージング面で言えば、先代ポロは室内の広々感を主に室内高で稼いでいたが、新型はどちらかと言うとホイールベースと室内幅で広さを確保した感じ。つまりプラットフォームの変更にともない、パッケージングとスタイリングの両方が変化している。VWのハッチバック車では、いま一番スポーティなデザインかも。

 


(photo:VGJ)

なお、細かい部分では、フロントのLEDポジションランプ(ハイラインはLEDヘッドライトも標準装備)、ショルダーに入った2本のキャラクターライン、そして触ると分かる凹形状のホイールアーチなどがポイント。極めてシンプルなデザインだった先代とは、この点でもずいぶん異なる。

このクラスでは珍しい、歩行者の衝突被害を軽減をするためのアクティブボンネットは全車標準。これもボンネットを低くしたいという、スポーティさ重視の表れだろう。欧州の衝突安全テスト「ユーロNCAP」では、もちろん最高評価の5つ星を獲得している。

 

    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
スズキ イグニス (2016?) 3700 1660 1595 2435 4.7
MINI クーパー(2014?) 3860 1725 1430 2495 5.15
スズキ スイフトスポーツ (2017?) 3890 1735 1500 2450 5.1
先代VW ポロ(2009?2018) 3995 1685 1445?1485 2470 4.9
スズキ バレーノ(2016?) 3995 1745 1470 2520 4.9
トヨタ アクア(2011?) 3995?4060 1695?1715 1445?1500 2550 4.8?5.4
新型VW ポロ(2018?) 4060 1750 1450 2550 5.1
マツダ デミオ(2014?) 4060 1695 1500 2570 4.7?4.9
ルノー ルーテシア(2013?) 4095?4105 1750 1435 2600 ?
VW ゴルフ7.5(2017?) 4265 1800 1480 2635 5.2


 

インテリア&ラゲッジスペース


インパネは水平基調。質感は大幅アップ




インパネはゴルフ7流に、横方向に広がる水平基調に変化。全幅1800mmのゴルフ7から乗り換えても、横方向の広々感でそんなに負けない感じになった。一方、傾斜が強まったフロントウインドウのせいか、頭上には少々圧迫感があり、先代のようにアップライトに座るのではなく、座面を低めにセットした方がしっくりくるようになった。

 


ハイラインにはスポーツシートが装備される。背もたれは相変わらずダイアル調整式

内装の質感は先代でも低くなかったが、新型では「ここまでやるか」というくらい、さらに向上。インパネの加飾パネル、純正インフォテイメントシステム周辺のガラスパネル、そしてハイラインだとLEDの夜間照明まで付くインナードアハンドルなど、Bセグメントとは思えない作りになっている。

VW上級モデル譲りのインフォテイメントシステムを採用



純正インフォテイメントシステム「ディスカバープロ」(photo:VGJ)

そしてポロにもついに、VW上級モデルと同じインフォテイメントシステム(2種類)やモバイルオンラインサービス「Volkswagen Car-Net」が導入された。

具体的にはまず、全車にAM/FMラジオやCDプレーヤー、リアビューカメラ(バックモニター)を備え、Android AutoやApple CarPlayに対応する「コンポジションメディア」が標準装備になった。要するにナビは手持ちのスマホでいいでしょ、と割り切った仕様だが、特にAndroid端末ユーザーでGoogleマップを使っている人なら、これで十分かもしれない。

なお、毎回書いているように、Android AutoやApple CarPlayを使う際には、車両とスマホをUSBケーブルで接続する必要がある。また、スマホがiPhoneの場合、車両ディスプレイに表示できるのはApple標準マップのみだ。

 


iPhoneと接続し、Apple CarPlayを起動した状態

いやいや、やっぱり車載ナビは欲しいし、地デジも見たい、という人には、コンフォートラインとハイラインに用意されている、8インチタッチパネル付きの純正ナビゲーションシステム「ディスカバープロ」(22万6800円)がある。もちろん、これもAndroid AutoやApple CarPlayに対応している。

 



なお、ポロには、アウディ等のように4Gの車載通信モジュールは搭載されないが、手持ちのスマートフォンやWi-Fiルーターでテザリングすれば、専用サーバーに接続することで最新ニュース、天気予報、駐車場などのリアルタイム情報を検索・取得できる「ガイド&インフォーム(Guide & Inform)」機能を利用することができる。これは新車購入時から3年間無償で、その後は有償のサービス。とはいえ、こういったネット検索については、今のところは手持ちのスマートフォンやAndroid Autoで普通に検索した方が手っ取り早いかも。

後席フットルームの余裕が増した




ホイールベースが80mm伸びた分、後席はフットルームが増加。先代の後席でも十分に実用的だったが、前席を少し前に寄せないと後席の足もとが狭くなりがちな傾向があった。新型では前ほど気を遣わずに済みそう。もちろんゴルフほど広くはないが、座り心地はカチッとしていて悪くない。ドア開口部が広がって足運びが楽になった分、乗降性も若干良くなった。

荷室容量は351Lとあるが……



写真はフロアボードを下段にした状態

荷室容量は先代の280Lから351Lにアップ、と資料にはあるが、これは床下スペースも含めての数値。350Lと言えば、2世代前のゴルフ5と同値だが(ゴルフ7は380L)、少なくとも床上の広さは、ちょっと横方向が増えたかな、というくらいで先代ポロと大差ない印象。もちろん普段の買い物には十分な広さだ。

 



後席の背もたれはワンタッチで倒せるが(上位グレードは左右40:60の2分割)、水平にはならず少し斜めになってしまう(これはゴルフ7も同じ)。拡大時の最大容量は先代の952Lから173Lも増えて1125L。これはホイールベースのアップが大きいと思う。

荷室フロア高は、深底か上げ底かの2段階(約100mm差)で調整可能で、上げ底にすればフロア面がバンパーレベルでフラットになる。このあたりは先代とよく似た感じだ。

 



一方、フロアボードから下の眺めは、先代とまったく異なる。先代では発泡樹脂製の仕切りボックスがあり、そこにパンク修理キットと小物収納スペースがあったが、新型ではボディパネルむき出しのくぼみにパンク修理キットが直接固定されており、周囲が空きスペースに。見た目は殺風景だが、荷室容量は増えるし(ここがマジックのタネ)、普段は覗かない場所だからこれでOK、という判断だろう。

その気になればスペアタイヤも搭載できそうだが、オプション設定はない。しかしパンタグラフジャッキは標準装備で、荷室左側のナイロン製バッグの中に納まっていた。

 


基本性能&ドライブフィール


【1.0 TSIエンジン】1.2 TSIとは性格が全く異なる




試乗したのは「TSI ハイライン」(265万円)に、ナビゲーションやセーフティパッケージ等のオプションを装着して約300万円という仕様。

1Lの3気筒ターボ「1.0 TSI」は、VWグループの新しい最小ダウンサイジングユニット。欧州向けポロには115ps、200Nm版もあるが、今回の日本仕様は95ps、175Nm版になる。

先代の「1.2 TSI」エンジン(前期型は105ps、175Nm、後期型は90ps、160Nm)と比べると、排気量と気筒数が減ったにも関わらず、ほぼ同等の馬力とトルクを確保しているわけで、言うなればダウンサイジングをさらにダウンサイズしたものだ。

 


1.0 TSIエンジン(photo:VGJ)

ちなみにこのエンジン、実は先代ポロの後期型に設定された限定300台の低燃費スペシャルモデル「ポロ BlueMotion」(JC08モード燃費23.4km/L)に搭載されたユニットの改良版。また、アウディのA1とQ2にも「1.0TFSI」の名で前から搭載されている。メカニズム的には、up!の1.0L自然吸気3気筒エンジン(75ps、95Nm)を直噴ターボ化したもの、と考えていいだろう。そう言えば日本にも今年導入予定という「up! GTI」(6MT)にも115ps版が搭載されている。

その印象は、出足こそ先代1.2 TSIのような俊敏さに欠けるものの、ターボが効き始めれば厚めのトルクがフワッと立ち上がり、先代比10kg増しとなる車重1160kgのボディを軽々と加速させる、という感じ。トルクフルだが、頭打ち感は早く、高回転はあまり得意としない。

 


1.0 TSIエンジンの性能曲線。70kW(95ps)/5000-5500rpm、175Nm (17.9kgm)/2000-3500rpm(photo:VGJ)

トランスミッションは先代同様に乾式クラッチの7速DCTだが、キックダウン(アクセルの踏み込みに応じて自動的に行われるシフトダウン)はほとんどせず、ターボにモノを言わせて、そのままのギアで加速する感じが強い。なので街中では1.2 TSIよりもゆったり、静かに走ることができる。3気筒の振動はほとんどまったく気にならないが、じっくり観察していると、回転数が1500~1800rpm前後まで下がった時に、かすかながら振動を感じることがある。

また、ここぞという時にアクセルを深く踏み込んでも、1.2 TSIのようにシャキン!とキックダウンし、エンジンをぶん回してギュィーンと加速……という感じにならないのも物足りないところ。加速性能は1.2 TSIと同等だと思うが、キャラクターはまったく異なる。

静粛性アップ。乗り心地はカドマルに




巡行中に思うのは「静かになったなぁ」ということ。先代ポロの弱点だったロードノイズが静かになり、ゴーゴー、ザラザラという音がほとんど聞こえなくなった。ちなみに試乗車のタイヤは、VW車で初めて見た気がするファルケンの195/55R16(タイ製)だったが、グリップ性能から静粛性までまったく不満がなかった。車両によってはコンチネンタルのプレミアムコンタクト5を履くものもあるようだ。

乗り心地もずいぶん良くなった。先代で気になった段差での突き上げ感がグッと丸くなったほか、荒れた路面でのフラット感が大幅に増した。このあたり、先代で感じられたゴルフ7との大きな差は、かなり埋まった感じがする。

そしてハンドリングも別モノになった。先代ポロの腰高感がなくなり、姿勢変化は小さくなり、アンダーステアも解消。左右の切り返しでも機敏に動くようになった。なぜかリアブレーキはディスクからドラムになってしまったが、ブレーキもよく効く。

高速巡行はさらに得意に




直進安定性も確実に良くなった。先代1.2L TSIでは高速域で浮足立ってくる感じがあり、車線をトレースするのに気を使う場面もあったが、新型ではもう不安感なし。ドシッとした手ごたえのある電動パワステも効いている。

100km/h巡行時の回転数は約2200rpmと高め。先代では何となく遮音が甘いような、速度が上がるにつれて騒々しくなる感じがあったが、新型では車外との隔絶感があり、かなり静かに高速巡行できる。

なお、最高速度(メーカー発表値)は、参考までにUK仕様(1.0 TSI 95ps版+7DSG)で186m/h。ちなみに先代1.2L TSIの前期型(105ps)は190km/h、後期型(90ps)は183km/hだったので、馬力通り、そのちょうど中間ということになる。

全車速対応ACCを採用。ただし停止保持は2秒まで




ハイラインでは標準装備、コンフォートラインではオプションのACC(アダプティブクルーズコントロール)は全車速追従機能付、つまり自動停車および自動発進まで対応するタイプ。停止して2秒以内に先行車が発進すれば、追従走行を自動的に再開する。設定はゴルフ7後期型と同様に210km/hまで可能だ。

ただし、ポロの場合は、パーキングブレーキがゴルフ7のような電動ではなく、手動式(ハンドブレーキ)なので、長時間の停止維持が難しく、停止時間が2秒を超えると「ピー」という警告音と共にACCがオフになり、クリープで動き始めてしまう。

 



とはいえ、ドライバーとしては停車中にブレーキを踏むのは自然な行為だし、ACCの再開操作もステアリングスイッチを一回押すだけと簡単なので、これはこれで不便ではないなぁと感じた。その一方で、ボルボ V40の全車速対応ACCは、手動パーキングブレーキでも長めの停車が可能なので、ポロでも同じくらい停止保持してくれれば、とも思うわけだが……。

新型ミリ波レーダーと電波センサーで監視。ぶつけそうになっても自動ブレーキが防ぐ




先進安全装備については他に、ミリ波レーダー方式のプリクラッシュブレーキシステム(自動ブレーキ)に歩行者検知機能(5?65km/hで作動)が備わった。ここでユニークなのは、歩行者検知を単眼カメラではなく、新型のミリ波レーダーで行う点だ。カメラに対するメリットは悪天候に強いこと、検知範囲(距離や角度)が広いこと、そしてコストだろう。

また、ユーザー的に一番恩恵がありそうなのが「セーフティパッケージ」(オプション)に含まれるパークディスタンスコントロールだ。これは、駐車の際、前進および後退時に、警告だけでなく自動ブレーキまで作動させるもの。障害物の検知に使う電波センサーは、よく見るとフロントバンパーに6個、リアバンパーに6個の、計12個も付いている。これでもう駐車時にクルマをぶつけることはなくなるかも。

 



さらに、駐車スペースからバックで出る際に、接近してくる車両を検知して自動ブレーキまで踏む「リヤトラフィックアラート」(後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能) 、走行中に斜め後方の車両をセンサーで検知し、ドライバーにドアミラー内の警告灯で知らせる「ブラインドスポットディテクション」(後方死角検知機能) も採用されている。

一方で、付いていそうで意外に付いていないのが、いわゆるオートマチックハイビームや車線逸脱警報、レーンキープアシスト(LKA、車線維持機能)といった、カメラの画像解析を使って行う機能だ。それは前述のように、新型ポロにはカメラが搭載されていないからだろう。新型ポロの場合、直進安定性が優秀なので、車線逸脱警報やLKAはそんなに必要ないと感じたが、オートマチックハイビームについては少なくともLEDヘッドランプ標準のハイラインでは欲しいと感じた(理由は後述)。

また、自動操舵でドライバーの駐車をサポートする 「駐車支援システム“Park Assist”」もポロで初めて採用されているが、これは障害物を電波センサーで検出するタイプのようだ(そもそもカメラはリアしかないので、少なくとも前方や左右の白線は読めない)。そんなことは車両返却後に知り、今回は試すのをすっかり忘れてしまった。

ハイオク仕様で試乗燃費は14.1km/L。JC08モード燃費は19.1km/L




今回は約250kmを試乗。参考ながら試乗燃費は、いつものように一般道や高速道路を走った区間(約80km)が14.1km/L、一般道を大人しく走った区間(約30km)は15.3km/Lだった。大ざっぱに言えば、市街地では13km/L台、高速道路で100km/h巡行すれば何とか19km/L台といったところ。JC08モード燃費は19.1km/L。指定燃料はもちろんハイオクになる。

ちなみに先代1.2L TSIのJC08モード燃費は、前期型が20.0?21.5km/L、後期型が22.2km/Lだったので、新型は1割ほどダウンしている。とはいえ、今回試乗した印象で言えば、実用燃費は先代と大差ないと感じた。

ただし、燃料タンクは40Lと、先代から5Lも減ってしまったので、その分だけ航続距離は短くなったと思われる。


ここがイイ


いろいろ良くなった。充実の自動ブレーキ機能




先代ポロは傑作車だったと思うが、ゴルフ7が登場した後は、主にシャシー性能(操縦性、乗り心地、静粛性など)でゴルフとの差が開きすぎてしまった感があった。今回はプラットフォームがMQBになったことで、先代の弱点を克服。質感も上がり、乗り心地も良くと、先代ポロで感じられたネガを(主にゴルフ7との比較の上で、だが)、ことごとく解消した。クルマとして「さらに進化」したのは間違いない。

自動ブレーキは歩行者検知対応になったが、それ以外にも計12個もの電波センサーで前進・後退時にも障害物に対して自動ブレーキが作動するなど、「ぶつからない」「ぶつけない」性能の充実は、ユーザー的にはありがたいところだろう。

また、コンフォートラインとハイラインに装備されるバックカメラは、ゴルフ同様にリアのエンブレムが反転してレンズが出るタイプになったが、その画像は8インチディスプレイいっぱいに映し出されて、ものすごく見やすかった。

ここがダメ


ゴルフと迷うサイズ&価格など




先代にあった取り回しの良さは感覚的には2、3割ほど失われた感がある。もちろん、ゴルフ7と比べれば相変わらずコンパクトだが、その差は小さく、となるとゴルフでいいじゃん、ということにもなる。次期ゴルフ8がどうなるか分からないが、現行のゴルフ7との価格差はほとんどない。

3気筒ターボについては、パワーは必要十分だが、今ひとつレスポンスや加速感に欠けるところがあり、先代の1.2 TSIエンジンのことを忘れさせるほどの魅力は感じられなかった。このまま1.2 TSIエンジンはドロップしてしまうのだろうか。

ハイラインのLEDヘッドライトは明るいことは明るいが、照射範囲がはっきりしている分、ロービームでは遠くが照らされず、山中の夜道ではハイビームを多用することに。しかし回転計の中に配置されているブルーのハイビーム警告灯があまり目立たず、ついついロービームに戻し忘れそうになった。試していないが、これならコンフォートラインのハロゲンでもいいかもしれない。少なくともセーフティパッケージ装着車なら、いわゆるオートマチックハイビームか、いっそアダプティブハイビーム(VW流に言えばダイナミックライトアシストか)が付いていそうなものだが、新型ポロには画像認識用の単眼カメラが搭載されていないからだろう、設定なし。となると、やっぱりカメラの一つくらいは搭載しておいてもよかった気がする。

総合評価


全幅1750mはノープロブレム




全幅1700mm以下。日本の5ナンバーという枠は世界的に見れば今やナンセンスなものだ。現行のスイフトスポーツ(欧州向けスイフトと同じ3ナンバーボディ)など、国内向けスイフトよりずっとスタイリングは魅力的になった。このクラスでの幅50mmはスタイリングに大きく影響する。実際、新型ポロの写真を初めて見た時は、なんてカッコいいんだと思ったもの。ワイド&ローにすればカッコよくなるというのはカーデザインの王道。新型ポロは現物を見ても、5ドアハッチバックとしては素晴らしくカッコいい。昨今はどのクルマも十二分に高性能で、性能差をはっきり打ち出しにくいだけに、スタイリングこそが大きな意味を持つ。その意味で新型ポロは、まず成功していると見ていいだろう。

では、ボディが幅広くなったことのデメリットはないかというと、これは、ないと断言しよう。前述のように実際の取り回しは若干スポイルされているが、何度も切り返さないと出入りできない駐車場を借りてでもいない限り、気にするほどでもないと思う。日本には今でも、ものすごく狭い路地や裏道があるにはあるが、全幅1800mm超のクルマに乗っていても、実際に走れなくて困ったということはほとんどない。もしそういう道を日常的に通る必要があるならば、VWにはup!というモデルもあるし、日本には軽自動車という素晴らしいクルマがある。昨今は大半のタワーパーキングが1850mmの車幅に対応するようになってきたし、1750mmばかりの幅など、ここではあえてノープロブレムと言っておこう。

 



全幅に関して嘆くとすれば、我々日本の人々の感覚の方かもしれない。日本の道や駐車場には今でも5ナンバーだと便利なところが多いし、ドライバー自身も長年にわたり身についた5ナンバーというサイズに安心感を持っているが、今後5ナンバー車は減っていく。5ナンバーサイズにこだわったクルマ作りは、今や国産メーカーにとってもやっかいなことで、スイフトがそのいい例だ。3ナンバーサイズだからと言って税額が変わるわけでもないし(年に一度の自動車税は排気量で区分けされる)、海外メーカーなら無論のこと。もはや日本の常識は世界の非常識と言うしかない。今後はサイズに限らず「日本のためのクルマ」はどんどん減っていく。残念だが、それが現実だ。少なくとも全幅1700mm以下にこだわるのは止め、そろそろ日本人もアタマを切り替えるしかない。

ターボが効き始めるまでのもっさり感




さて、いつも乗っている全幅1800mm超のクルマというのは、ザ・ビートル・カブリオレだが、クーペモデルより80kg重い車重1380kgのこのクルマを105psの1.2Lターボで走らせる感覚と、車重1160kgで95psのポロ 1.0Lターボの感覚は、かなり近いものがあった(パワーウエイトレシオはカブリオレが約13kg/ps、ポロが約12kg/ps)。ポロはトルクフルな特性で、速度に乗ってしまえば力強いが、発進直後からターボが効き始めるまでの間に感じるもっさり感は、ザ・ビートル・カブリオレと共通している。ストップ&ゴーを繰り返す日本の都市部では、ここはちょっと辛いかもしれない。速度に乗れば、ともに素晴らしい走りを見せるのだが。

DSGのダイレクトな感覚がそれを助長しているように思う。ステップATやCVT(CVTも今は発進にトルクコンバーターを使うものが主流)のようなトルク増大効果はないだけに、クラッチがスパッとつながって→ トルク不足気味に立ち上がり → ターボが効き始めてグーンとトルクが湧いて加速する、という感覚。特にアイドリングストップした後だと、最初に始動という動作にやや時間が取られるので、なおさら俊敏なスタート感に欠けてしまう。新型ポロに乗って感じる先代ポロとの大きな差は、まずそこではないか。ステップAT車は多段化でかなり良くなっているし、CVT車も昨今のモデルではかなり自然な加速感を備えるようになってきたので、よりそう思う。

話はズレるが、フォルクスワーゲンのDSGで乾式クラッチのタイプはクラッチ交換が必要になることがままあるようだ。ザ・ビートル・カブリオレも5万kmを超えたあたりでジャダーが出てクラッチ交換となった。DSGのダイレクトなシフト感は気持ちいいものだが、やはり日本の都市部のようなストップ&ゴー事情のもとでは、合っているといい切れないのかも。クラッチ修理後は、エンジンの低回転域から緩やかに加速しようとする時に、シフトアップを迷うような動きをし、コンコンと軽いシフトショックを感じるようになった。シフトプログラムは最新のものにアップデートしたが、改善できないままだ。VWのDSGを絶賛してきたモーターデイズゆえ、いちおう報告しておく。

「コンポジションメディア」標準装備は見識




さて、新型ポロでは、ナビ無しのインフォテイメントシステム「コンポジションメディア」を標準装備にしたのが見識だと思う。もはやカーナビなど要らない。これで十分。それが現実だ。これこそが日本のカーナビ産業の大きな曲がり角を象徴している。ナビメーカー各社が苦しんでいる中、これまでの研究開発や進化を否定するようなことを書くのは辛いが、もはや従前のナビ作りからは脱却して、情報ディスプレイとしての機能を強化したインターフェイスを開発するしかないと思う。

もはやカーナビはいらないが、テレビは見たい。新型ポロでは、そのために高価な純正ナビ(ディスカバープロ)を選択するしかない。しかし理想を言えば、コンポジションメディアの機能に加えて、テレビ放送受信機能、ブルーレイ再生機能を持ち、通信simを内蔵してネット動画も見ることができて、webブラウザもあって、現在地を把握して事故多発地点とか、盗難多発地点とかの情報が流れ、ドラレコ機能があって、スピード取締り情報も表示できるという耐久性・耐熱性のあるインフォメーションパネルを作れないものだろうか?(これはもはやタブレット端末に近いかもしれない)。もちろん、昨今の後付ナビの流れである大画面化は言うまでもない。世のニーズはまさにそこにあると思う。

SUVの中で埋もれないための戦略


 



新型ポロはカッコよくなったが、昨今はカッコいいハッチバックより、カッコいいSUVが人気だ。先代ポロも、ノーマルモデルよりスタイリング的にはクロスポロに魅力があった。そういった流行の変化も、今回のポロにとっては向かい風かもしれない。コンパクトさを捨ててカッコよさを強調してみたが、人々の関心はSUVに向いたままだ。いやそうではなく、もし凡庸なスタイリングだったら、まったく見向きもされなくなってしまうかも。新型ポロの魅力的なスタイリングは、SUVの中で埋もれてしまわないための戦略なのだろう。猫も杓子もSUVだが、そんな風潮に一矢報い、伝統的コンパクトハッチバックのカッコよさを改めて提案・主張しているのが新型ポロということになる。

 
Source: MOTOR DAYS 最新コンテンツ